レストランなどで外食をしたとき、「まだ食べたいんだけど、おなかいっぱいになっちゃった……」ということはないだろうか。持って帰れるものならそうしたい。
こんな疑問を解決するのが、食品廃棄物削減の新しい取り組みとして注目されている「ドギーバッグ」だ。
ドギーバッグとは外食先で食べきれなかった食べ物を入れる入れ物のこと。バッグといえどその形状は、箱タイプがほとんどで折りたたみが可能なうえ、洗えば何度でも繰り返し使えるようになっている。
米国発のこのドギーバッグ。米国ではどのレストランに行っても出てくる食べ物の量がとにかく多いため、日本人旅行客だけでなく、現地の人もお腹がいっぱいになった時点でけっして無理をしない。そこで、家で飼っている犬のために残り物を持ち帰ることから「Doggie Bag」として普及していったのだ。
このように米国ではあたりまえとされている食べ残しの持ち帰りだが、残り物を持ち帰るという行為の印象から、日本では拒否する店も少なくない。また、高温多湿の日本の気候を考えると、衛生管理上の問題が懸念される。
ドギーバッグを販売する「MOTTAINAI SHOP」のサイトにも、「レストランでの残り物を持ち帰る行為は、あくまでもお客様の自己責任でお願い致します」という一文が入っているように、お店から持ち帰った食べ物をお客さんが、いつ、どのような状態で食べるのか、食べ物を提供したお店では責任が持てないのだ。
ただ、持ち帰りを容認する社会的意識さえ育てば、日本で年間約300万トンにものぼる外食産業による食品廃棄物が減るのは間違いない。
ドギーバッグの認知度がいまよりさらに高まっていけば、目当てのお店の人気メニューを明日の朝食にするのもよし。食べ残しの持ち帰りを前提に注文する人もだんだんと増えてくるだろう。
環境意識や“もったいない精神”が高まれば、エコバッグとドギーバッグのセットが定番となる日も近い?
(筒井 健二)
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