今週の日経平均株価は、「逆イールド現象」からの
世界経済の減速懸念を嫌気して下落

 今週(8/13~16)の日経平均株価は下落しました。

 米中貿易摩擦の長期化への懸念が強まっているほか、香港での大規模デモの影響が嫌気され、連休明けの日本株市場は売り優勢となりました。

 その後、米通商代表部(USTR)は、中国からの輸入品約3000億ドル(約32兆円)相当に対して9月1日から課す予定の10%の関税について、一部の品目への発動を延期すると発表。ひとまず米中対立への警戒感が和らぐ格好から、買い戻される局面もみられました。

 しかし、米国債市場ではリセッション(景気後退)の前兆とされる長短金利の逆転(逆イールド現象)が起きたことで、8月14日の米国市場ではNYダウが800.49ドル安と、今年最大の下落幅を記録。これが嫌気され、15日の日経平均株価は一時2万184.85円まで下落しました。

 ただ、今週はお盆休み中のため市場参加者が限られていることから、売買代金は2兆円を下回る薄商いとなっており、15日も朝方に大きな動きを見せた後は下げ渋る動きを見せました。そして、本日16日はわずかに上昇し、最終的に前週末比▲266.01円安の2万418.81円で今週の相場を終えました。

 また、日経平均株価の不安定な値動きが続く中で、新興市場など外部環境の影響を受けにくい中小型株に個人主体の資金が向かいました。

来週の日経平均株価は底堅い値動きに!
ジャクソンホール会議での金融安定化への期待が膨らむ【来週の日経平均株価の想定レンジ】
 2万100円 ~ 2万800円


 来週(8/19~23)の日経平均株価は、底堅い値動きに期待したいところです。

 米中対立や世界経済の減速懸念、日韓問題、北朝鮮の地政学リスクなど、様々な不安要因はありますが、日経平均株価に関しては2万円が強力な下値支持線として意識されています。

 米中問題に関しては、楽観視はできないものの、トランプ米大統領は「中国は米国との通商協議で合意することを望んでおり、中国との貿易戦争はかなり短期で済むのではないか」との見方を示しています。また、トランプ大統領は習近平国家主席との電話協議を近く予定している、と各メディアは伝えています。電話協議がいつ行われるか、具体的な日付などは明らかにされていませんが、投資家にとっては売りポジションを取りづらくさせる要因となるでしょう。

 そのほか、来週はワイオミング州の避暑地であるジャクソンホールにおいて、カンザスシティ連銀主催による定例の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)が開催されます。今年は8月22日から24日まで3日間の日程です。

 会議のテーマは「金融政策の課題」で、パウエルFRB議長も8月23日に講演を行う予定です。会議の結果や講演内容によっては、為替や金利動向が思惑的に動き、金融安定化への期待感が高まる可能性もあるので、こちらも株価にとってはプラス要因と考えられます。

 来週は、お盆休み明けから市場参加者が増えるとみられます。積極的に上値は買いづらいとはいえ、底堅さが意識される中では、外部環境の影響を受けづらい中小型株に対する押し目買い意欲の強さが意識されそうです。

【今週の値上がり率・値下がり率・出来高ランキング】
Lib Workが+60.05%で値上がり率トップ!

 ここからは、今週、値動きの目立った個別銘柄をみていきましょう。

 今週の値上がり率ランキングのトップは、Lib Work(1431)。8月9日に発表した2019年6月期の決算への評価が続いており、連日での大幅上昇をみせています。売上高は前期比29.3%増の65億円、経常利益は同54.4%増の5億7300万円、営業利益は同59.3%増の5億3200万円でした。

 値上がり率2位のイノベーション(3970)は、8月9日に発表した2020年3月期第1四半期決算が材料視されました。営業利益は3400万円で、通期計画に対する進捗率が68%と高進捗が評価。

株価はストップ高を交えての上昇となり、出来高も膨れています。

 値上がり率3位はベネフィットジャパン(3934)で、8月13日に発表した2020年3月期第1四半期決算が材料視されました。売上高は前年同期比34.5%増の18億円、経常利益は同67.2%増の3億100万円、営業利益は同67.2%増の3億100万円でした。株価はマドを空けての上昇から、連日で年初来高値を更新しています。

 一方、値下がり率ランキングの1位は、LCホールディングス(8938)。8月14日に関東財務局に提出した2020年3月期の第1四半期報告書に「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン)」を記載。企業経営への先行き懸念が高まり、売りが膨らんでいます。

 値下がり率2位のウルトラファブリックス・ホールディングス(4235)は、8月14日に2019年12月期の営業利益を、従来予想の18.00億円から12.00億円(前期実績11.68億円)に下方修正し、嫌気売りが膨らみました。同期の年間配当も従来予想の28.00円から26.00円(前期実績24.00円)に減額修正しています。

■今週の値上がり率トップ5順位先週末比(%)銘柄名(市場・コード)※クリックで最新株価・チャートへ1+60.05Lib Work(マザ・1431)2+54.77イノベーション(マザ・3970)3+48.79ベネフィットジャパン(東1・3934)4+42.78明和産業(東1・8103)5+40.58マジェスティ ゴルフ(JQ・7834)■今週の値下がりワースト5順位先週末比(%)銘柄名(市場・コード)※クリックで最新株価・チャートへ1−44.86LCホールディングス(JQ・8938)2−34.13アドベンチャー(マザ・6030)3−33.33ウルトラファブリックス・ホールディングス(JQ・4235)4−32.75ライトアップ(マザ・6580)5−32.58翻訳センター(JQ・2483)■今週の出来高トップ5順位出来高(株)銘柄名(市場・コード)※クリックで最新株価・チャートへ1322,413,700みずほフィナンシャルグループ(東1・8411)2257,165,400音通(東2・7647)3168,600,200三菱UFJフィナンシャル・グループ(東1・8306)4100,749,200JXTGホールディングス(東1・5020)580,594,600野村ホールディングス(東1・8604)【来週の主要イベント】
「米国・欧州のPMI」や「ジャクソンホール会議」に注目!

<8月19日(月)>
◆7月貿易統計
◆決算発表:あいホールディングス(3076)北川精機(6327)
◆欧6月経常収支
◆欧7月消費者物価指数(改定値)

<8月20日(火)>
◆独7月生産者物価指数(PPI)
◆欧6月建設支出

<8月21日(水)>
◆米MBA住宅ローン申請指数
◆米7月中古住宅販売件数
◆米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

<8月22日(木)>
◆6月全産業活動指数
◆独8月製造業PMI(速報値)
◆独8月サービス部門PMI(速報値)
◆欧8月製造業PMI(速報値)
◆欧8月サービス部門PMI(速報値)
◆米8月製造業PMI(速報値)
◆米8月サービス部門PMI(速報値)
◆米7月景気先行指標総合指数
◆ジャクソンホール会議

<8月23日(金)>
◆7月全国消費者物価指数(CPI)
◆米7月新築住宅販売件数

【来週の注目銘柄】
「CYBERDYNE」「アンリツ」
「ピーシーデポコーポレーション」の3銘柄に注目!

 来週、注目しておきたい銘柄は、この3つです。

CYBERDYNE(2019年8月16日時点)業種市場・コード株価予想PER実績PBR精密機器東1・7779618円-倍3.00倍マレーシア政府などとの協定締結により、HALによる「サイバニクス治療」を加速
筑波大学教授・山海嘉之さんが設立したロボットスーツ開発ベンチャーです。マレーシア政府と社会保障機構、ならびに筑波大学と協力して、革新的な装着型サイボーグHALによる「サイバニクス治療」の普及に向けた各種協定を8月15日に締結しました。
CYBERDYNEは、世界初の装着型サイボーグHALを利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進する「サイバニクス治療」を、グローバルな標準治療とする取り組みを進めています。今回の協定締結により、今後のグローバル展開への期待がますます高まりそうです。株価は、ダブルボトム形成後にリバウンドをみせてきており、上値抵抗線となっていた25日移動平均線と75日移動平均線を突破しています。
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次世代通信規格である「5G」の開発用計測機器が好調です。ここにきて、再び「5G」をキーワードとしたニュースが伝えられており、あらためて「5G」へ関心が集まる可能性があります。主なニュースとしては、韓国のサムスン電子が米国・テキサス州オースティンの工場で「5G」技術を活用したテストを行っているほか、総務省が「5G」を使った遠隔医療や遭難者救助の実証実験を秋から全国21カ所で始めると報じられています。「5G」の中核銘柄として見直す動きに期待したいところです。株価は、5月21日安値をボトムにリバウンド基調が継続しています。直近では、25日移動平均線付近での煮詰まり感が意識されており、ここからの一段の上昇が期待されます。
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パソコン量販店です。8月14~15日には、国内最大級の高校生対抗eスポーツ大会「STAGE:0(ステージゼロ)」の決勝大会が開催されました。さらに、8月24~25日には「GUNDAM GAME GRAND PRIX 2019(GGGP2019)」が幕張メッセで開催されるほか、「都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI」が10月4~6日に開催されるなど、eスポーツの人気が高まっています。
そこから、eスポーツに適した高性能なデスクトップ型「ゲーミングPC」への需要増が意識され、ピーシーデポコーポレーションも関連銘柄の一角として注目されています。株価は、75日移動平均線を底値にリバウンドをみせており、その後も強い上昇トレンドを形成しています。

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