フィービジネスは高利益率
日本M&Aセンター、カカクコムも

 今回は、上場企業の4~9月期または3~8月期(小売業に多い)の中間決算のデータを使い、「各都道府県で最も利益率が高い会社ランキング2019中間決算」を作成した。

 上場企業を対象に、各都道府県で最も営業利益率(営業利益÷売上高×100で算出)が高い会社をピックアップし、利益率が高い順にランキングした。

本社所在地はダイヤモンド社企業情報部調べ。

 それでは、上位の都道府県から確認していこう。

 1位は、東京都に本社がある全国保証で、営業利益率は72.7%だった。売上高に当たる営業収益176億円に対し、営業利益は128億円となっており、まさに異次元の高収益企業だ。

 同社は独立系の信用保証最大手である。業種は「その他金融」で、物を作って売る企業ではない。銀行や信用金庫など多数の金融機関と契約して、住宅ローンを中心に信用保証業務を行っている。

 同社のように、顧客にサービスを提供する対価として手数料を受け取るフィービジネスの企業は、利益率が高いことが多い。

 東京都で営業利益率が30%を超えた企業は34社あった。このうち、不動産担保ローンのアサックス(その他金融)の利益率は68.4%、中小企業のM&A(合併・買収)仲介で最大手の日本M&Aセンター(サービス)は51.9%、グルメサイトの「食べログ」や価格比較サイト「価格.com」を運営し、掲載店から手数料を得ているカカクコム(サービス)が46.0%などと、実際にフィービジネス企業が目立つ結果となっている。

年収2000万円超のキーエンスが3位
カプコンやJR東海も利益率高い

 2位は、神奈川県のマンション開発業者、ランド(不動産)で営業利益率は61.8%だった。神奈川県で利益率が30%を超えた企業は他になく、ニューフレアテクノロジー(機械)が22.8%。

「三國無双」などのゲームを手掛けるコーエーテクモホールディングス(情報・通信)が20.8%となっている。

 3位は大阪府のキーエンス(電気機器)で営業利益率は50.1%だった。FA(ファクトリーオートメーション、工場における生産工程の自動化を図るシステム)センサーなど検出・計測制御機器の大手である。猛烈な営業力と、2000万円を超える高い平均年収でも有名な企業だ。

 大阪府では、営業利益率が30%超の企業が6社あった。このうち、「モンスターハンター」や「バイオハザード」などのゲームを開発するカプコン(情報・通信)が37.5%、塩野義製薬(医薬品)が36.2%だった。

 4位は愛知県のユー・エス・エス(サービス)で46.2%。同社は中古車オークション会場を運営する企業である。

 このほか愛知県には、利益率が42.6%の東海旅客鉄道(JR東海、陸運)もある。東海道新幹線がドル箱で、2019年4~9月期の売上高は9556億円。営業利益は4069億円だった。営業利益の金額では、キーエンス(1388億円)を上回る稼ぎとなっている。

 ちなみにトヨタ自動車(輸送用機器)の営業利益率は9.2%となっている(営業利益は1兆4043億円)。

 5位は兵庫県のSECカーボン(ガラス・土石製品)で45.1%だった。独立系の炭素製品大手で、アルミ製錬用電極で世界シェアの4割超を握っている。

下位5県は営業利益率が4%未満
熊本、島根、山形、青森、秋田

 今回のランキング作成に当たり、銀行など決算書に「営業利益」の記載がない企業は対象外とした。岩手、大分、宮崎の3県は、対象となる決算期で業績を発表している上場企業が銀行だけだったため、ランキングには入っていない。

 また、長崎県にはそもそも上場企業が存在していない。

 それでは最後に、ランキングの下位もチェックしておこう。

 下位の5県における、各県での営業利益率がトップの企業は、いずれも4%に満たない水準だった。

 39位は熊本県の平田機工(機械)で3.9%。40位は島根県のジュンテンドー(小売業)で2.0%。41位は山形県の日東ベスト(食料品)で1.7%。42位は青森県のサンデー(小売業)で1.4%。

43位は秋田県のマックスバリュ東北(小売業)で0.6%となっている。

(ダイヤモンド編集部 清水理裕)

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