GoToトラベルキャンペーンがあるとはいえ、なんとなく旅行には出かけづらいと考えている人も少なくない。でも、せっかくなら食事だけでも旅行気分を味わいたいもの。

 現地を訪れずとも、お取り寄せなどでおいしい全国各地の食材や食べ物が食べられるようになった今、多くの人が選ぶ食事がおいしい市区町村はどこなのだろうか。今回は、ブランド総合研究所が調査を行った「食事がおいしい市区町村ランキング2020」を見ていこう。

 このランキングは、47都道府県と国内1000の市区町村を対象に、認知度や魅力度、イメージなど全84項目からなる「地域ブランド調査2020」によるもので、今年で実施は15回目。食事がおいしい市区町村ランキングは、「各自治体にどんな魅力があると思いますか?」という問いに対して、「食事がおいしい」と回答した人の割合(%)から算出した。全国の消費者3万1734人から有効回答を得た。調査期間は、2020年6月24日~7月20日。

食事がおいしい市区町村ランキング
トップ3は北海道の都市が独占

「食事がおいしい市区町村ランキング2020」1位は、前年1位の札幌市が選ばれた。「食事がおいしい」と答えた人の割合が昨年の34.9%から37.5%へとアップしている。2位は前年3位の小樽市、3位は前年2位の函館市となった。1位~3位まで北海道の都市で独占している。

 次いで4位は喜多方市、5位には松阪市がランクインし、前年と全く同じ結果となった。13位になった金沢市は前年21位から大きく順位を上げて、過去最高位となっている。

食材がいいだけじゃない
北海道トップ3都市の魅力とは

 今回トップ3を独占した北海道の都市には、それぞれどのような魅力があるのだろうか。

 まず1位になった札幌市について、同調査を行ったブランド総合研究所の田中章雄社長は、以下のように語る。

「北海道は素材がいい、札幌には北海道中のおいしい素材が集まる、という印象が昔からあったが、今ではそれだけではない。おいしい食材を使ったおいしい料理が食べられるようになっている。有名シェフが札幌市で店を続々と開くなどしており、ここ5年ほどでレベルが急激に上がっている」

 2位の小樽市は、昔だと食では「すし」「海鮮丼」のイメージが強かったが、現在はそれ以外にも魅力的な食べ物が人気を集めている。例えば、お菓子では「ルタオ(LeTAO)」のチーズケーキが今では全国的にも大人気だ。

 また、小樽市民のソウルフードとして愛されてきた「あんかけ焼きそば」が近年、すしにも負けない観光名物になっているという。「小樽あんかけ焼そば親衛隊」なる団体を飲食店と製麺会社などが設立し、全国に向けたブランド化に取り組んできたことが功を奏したようだ。

 3位の函館市は、かつては朝市で見られる「活イカ」のイメージが強かった。しかし近年は、各ホテルが豪華な海鮮を用いた朝食ビュッフェを用意するなど、朝食戦争が激化していた。今回の新型コロナウイルスの影響もあり、ビュッフェスタイルは敬遠されるようになってしまっているが、現在は個別盛り付けや使い捨て手袋の設置などで、感染防止策を十分に施した上で実施されているという。

 今年の「食事がおいしい市区町村ランキング」はやはり新型コロナの影響を受けており、全体的には「わいわいがやがや食べるお好み焼きや鍋など、宴会系の食事で有名な市区町村は順位が下がる傾向にあり、おうち需要の高まりで食材がおいしい市区町村の順位は上がっているようだ」(田中社長)という。

 まもなく忘年会シーズンが到来するが、今年は感染防止の観点からなかなか大人数で楽しめる機会は少なくなるだろう。自宅で家族などとちょっとぜいたくな食事をする際は、ぜひ全国各地にあるおいしい食材や食べ物をお取り寄せして、ささやかな旅行気分を味わってほしい。

(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

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