コロナ禍の前に行われた20年卒の採用。果たして主要企業はどの大学から学生を採用したのだろうか。
新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響を受けている業界の一つが運輸業界だろう。2度にわたる緊急事態宣言の発出、さらには企業の出張控えなどによって、航空・鉄道各社の業績は赤字に転落した。コロナ禍の収束が見通せない中、各社は21年卒の採用中止や採用人数の大幅減に追い込まれた。
22年卒についても状況は大きく変わらず、日本航空と全日空は一部職種を除いて新卒採用を見送る方針で、JR東日本、JR東海、JR西日本も採用人数を絞る方針のようだ。運輸業界への就職を目指す学生にとっては厳しい状況が続いている。
コロナ禍の影響を受ける前の19年のランキングを見てみよう。日本航空の1位は早稲田大学、2位が青山学院大学、3位に慶應義塾大学が入った。全日空は1位慶應、2位青山学院、3位関西外国語大学の順。JR東海は1位名城大学、2位日本大学、3位芝浦工業大学が並んだ(19年はJR東日本とJR西日本はランキング未作成)。
果たして20年のランキングの顔触れはどうなったのだろうか。
JRは日本大学が存在感
20年の航空2社の採用大学ランキングは、TOP3の顔触れに変化があった。日本航空の1位は早稲田が堅持したが、同率2位に前年3位の慶應と前年4位の関西外国語大が上がった。全日空は1位に前年2位の青山学院が上がり、同率2位には前年1位の慶應と前年5位の早稲田が入った。
両社のTOP10の顔触れは前年とほぼ同じで、早慶やMARCH、関関同立など難関私立大が多い。20年の新顔としては、法政大学が日本航空の同率6位と全日空の8位に、名古屋外国語大学が全日空の同率10位にランクインしている。
一方、鉄道各社の採用大学ランキングは、航空各社と比べると多様だ。JR東日本は1位日本大学、2位東北学院大学、3位東洋大学。JR東海のTOP3は前年と同じ顔触れで、1位名城大、2位日大、3位芝浦工大。JR西日本は1位京都大学、2位関西大学、同率3位に神戸大学と近畿大学という結果となった。
やはり各社とも自社の営業エリア内にある大学からの採用が多い。JR東日本は2位の東北学院、5位の新潟大学、10位の高崎経済大学など地方大学からも多くの学生を採用している。
JR東海も1位の名城大、4位の中京大学と、いずれも本社がある名古屋エリアの大学がランクインしている。
*ランキング表の見方
医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に2020年春の就職状況を調査。551大学から得た回答を基にランキングを作成した。就職者数にグループ企業を含む場合がある。大学名横の*印は大学院修了者を含むことを表す。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。東京大学は「東京大学新聞」より集計。慶應義塾大学は就職者3名以上の企業のみ公表。企業名は大学通信の調査方法にのっとって表記しているため、正式名称と異なる場合がある。
調査/大学通信