コロナ禍の前に行われた20年卒の採用。果たして主要企業はどの大学から学生を採用したのだろうか。
就活生の親世代が就活していた頃は、お酒を飲むときは「とりあえずビール」が定番だった。長らくビールでトップシェアを守ってきたキリンに、アサヒビールが「スーパードライ」を投入して挑戦状をたたきつけたのは1987年のこと。翌年にはキリン、サントリー、サッポロビールがドライビールを発売し、「ドライ戦争」としてビール市場を盛り上げた。
しかし、時代は大きく変化してきた。消費者の嗜好の多様化や若年世代のアルコール離れなどもあり、ビール会社はビールだけでなく缶酎ハイやハイボール、発泡酒や第三のビール、さらにはノンアルコール飲料や清涼飲料など、多様なニーズに応えるべく商品ラインアップを拡充している。
現代の就活生にとってビール会社は、総合飲料・食品メーカーとして映っているだろう。主要4社はどのような大学から学生を採用しているのだろうか。
コロナ禍の影響を受ける前の19年のランキングを見てみよう。キリンは1位早稲田大学、2位同志社大学。アサヒビールは1位立命館大学、2位早稲田。
果たして20年のランキングの顔触れはどうなったのだろうか。
キリンは関西系がTOP10の過半アサヒは国立大が上位に躍進
20年の主要ビール会社の採用大学ランキングは、各社で顔触れに変化があった。キリンは前年1位の早稲田がTOP10から姿を消し、前年同率5位の慶應が1位となった。早稲田に代わって関西大学が同率8位でTOP10にランクインしている。その結果、TOP10のうち関西系の大学が6校と過半数を占めた。
アサヒビールは慶應と早稲田が同率1位となった。20年の特徴は、国立大学が上位に上がったこと。同率3位に東京大学、大阪大学、神戸大学が並んだ。いずれも前年はTOP10圏外だった大学だ。
サントリーHDは1位早稲田、2位慶應で、前年と早慶の順位が入れ替わった。同率3位には前年TOP10圏外だった東大と前年同率4位の同志社が入った。同率6位の横浜国立大学、同率9位の北海道大学、九州大学、関西学院大学はいずれも、前年のTOP10圏外からのランクインだ。
ビール4社の中で、前年からの変化が最も大きかったのはサッポロビールだ。20年の1位は前年2位の早稲田、2位は前年同率5位の法政だった。前年1位の明治は同率10位に順位を下げた。特徴的なのは、新顔が多いこと。TOP10にランクインした27校のうち、21校が新たな顔触れだ。同率3位の北大、大阪大、学習院大学、東京理科大学はいずれも初のランクイン。同率10位には千葉大学や信州大学、静岡大学、滋賀大学、岡山大学など新顔の地方大学が並んだ。
*ランキング表の見方
医科・歯科の単科大等を除く全国735大学に2020年春の就職状況を調査。