晩婚化・非婚化が進む日本。「手に職があり、安定している」イメージのある薬剤師という職業でも、その傾向は同じようだ。
薬剤師向けコミュニティサイト「ココヤク」が実施した薬剤師の恋愛観・結婚観に関する調査が興味深い。

 アンケートは1月7日~15日まで、薬剤師と薬学生335人(未婚:223人/既婚:112人)にインターネット調査で実施。

「配偶者の年収が200万円以下」
独身者は8%、既婚者は22%が「それでもOK」

「ココヤク」がアンケートを実施したきっかけは、薬剤師には「手に職があり安定している」「収入も悪くない」「社会的評価が高い」などの一般的なイメージがあると考えられる一方で、「薬剤師は結婚できない」という意見がサイトに多く寄せられたこと。既婚者・独身者それぞれに恋愛観や結婚観を聞くことで、「薬剤師が結婚できない理由」を調査した。

 調査によると、独身薬剤師の64%が、結婚相手に望む年収は「301万円~600万円」と答えたという。「厚生労働省 賃金構造基本統計調査(平成23年)」によれば、薬剤師の平均年収は500.3万円(男性=571.5万円、女性=473.3万円)。自分と同程度の年収を相手に望んでいると考えられる。しかし、既婚者へのアンケートでは、「年収301万円~600万円」の配偶者を持つ既婚者は35%という結果となった。

 さらに顕著な傾向が見られたのは、配偶者の年収が「200万円以下でOK」と回答した独身薬剤師は8%だったのに対し、既婚薬剤師では22%と約3倍だったことだ。

「ココヤク」では上記の結果や、独身薬剤師の92%が同業者との結婚は「アリ」と回答した結果などから、「独身薬剤師は安定した生活を求め、自分と同程度の収入そして同業という『自分と似た人』を結婚相手として探していると推測できる」と分析。「しかし、独身薬剤師は既婚薬剤師と比べると、結婚に安定を求めすぎてしまっているために結婚から遠ざかっていると言えるのかもしれません」と「結婚できない理由」を解説している。

「(配偶者の年収が)200万円以下でOK」と答えた既婚薬剤師が、「配偶者の年収が実際に200万円以下」なのか、「結婚してみて、200万円以下でも大丈夫と思えるようになった」のかはわからないが、既婚者からしてみれば「結婚する前に心配しすぎても仕方ない」というところではないか。

「安定志向」に傾くばかり、知らず知らずのうちに縁遠くなっている独身者は、何も薬剤師だけに限ったことではないようにも感じる。

結婚に踏み切れないのは
失敗を恐れているから?

 独身薬剤師に「結婚」のイメージを聞いたところ、多かったのは「安心」「安らぎ」「安定」など。既婚薬剤師に多かったのは「成長」「支え合い(助け合い)」。さらに、「妥協」「忍耐」「試練」などの言葉も上位に上がったという。こんなネガティブワードを聞くと、独身者はさらに結婚に踏み切れなくなりそうだ。

 完璧なものなどないとわかっていながらも、理想の結婚を追い求める独身者たち。先行き不安な世の中で「イマドキの若手社員は失敗を恐れる」と言われるが、その傾向は結婚への姿勢にも見て取れると言えそうだ。

(プレスラボ 小川たまか)

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