『週刊ダイヤモンド』7月29日号の第1特集は「20業界300社 5年後の業界地図」です。トップアナリストの分析などに基づき、業界序列から再編シナリオ、年収格差や意外なダークホースに至るまでを明らかにしました。

日本株急浮上や「ChatGPT」の大流行など、今後の産業界に特大インパクトを与え得る地殻変動に迫ります。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

日経平均「5年後」アンケート!
28年末4万7700円の高値予想も

 著名投資家ウォーレン・バフェット氏が今春、日本株への追加投資を示唆したことも後押しし、日経平均株価は大きく水準を切り上げてきた。

 年初は2万5000円台にすぎなかったものの、5月には3万円を突破してバブル後の高値を更新。6月や7月には、3万4000円に迫る場面もあった。

 東京証券取引所のPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業への是正要請なども相まって、世界の中でも割安に放置されてきた日本株に見直し買いが集中。コロナ禍での金融緩和相場の一巡後はもみ合い圏が続いていたが、ここにきて「再浮上」と形容できそうな上放れの動きを見せている。

 気になるのは、今後の行方だ。そこで、ダイヤモンド編集部では「5年後」をテーマとした本特集において、相場のプロにアンケートを依頼。市場分析経験の長い5人から回答を得た。その結果、5年後の年末(2028年末)時点の日経平均の予想値は、3万2000~4万7700円となった。

 最も強気の予想を示したのが、マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストだ。アンケートでは、日経平均が1989年末に記録した史上最高値(3万8915円)をいつ更新するかも尋ねたが、同氏の回答は「24年6月ごろ」と、5人中で最も早期を予想した。

 広木氏は、インフレ定着によって企業が設備や人的資本への投資を進め、経営効率重視の姿勢が強まると予想。足元の株価は決して割高ではなく、日本の成長期待の台頭によって、5年先まで株価が上昇基調を描くとみる。

 一方、最も弱気派となったのが、智剣・Oskarグループの大川智宏CEO(最高経営責任者)。28年末の予想株価は3万2000円と、ほぼ足元と同様の水準だ。

 大川氏は「世界的な景気後退が進行する中での現状の株式市場は明らかに過大評価」と指摘。今後確実視される少子化や各種の増税が日本経済のリスクになるとみる。

 楽天証券経済研究所の窪田真之チーフ・ストラテジストはこの先、期待できる注目業種の一つにAI関連を回答。5年後は「AIが飛躍的に進歩し、人間の仕事を幅広く代替していくだろう」と見通す。

 また、ニッセイアセットマネジメントの吉野貴晶投資工学開発センター長と、みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは、エクイティスプレッドやPBRといった資本効率向上の流れが、日本株の一段高を促すとみている。