いよいよ夏の高校野球の「決勝戦」が始まる。今年は第106回の大会だ。

名門校の敗退も目立ったが、最終的に甲子園に出場した顔ぶれを見ると、おなじみの学校が多かったと感じたのではないだろうか。そこで、都道府県別に甲子園に出場したことのある高校の割合を調べてみた。(野球史研究家 森岡 浩)

甲子園の出場履歴のある高校の割合が多い都道府県は?
1位の県は脅威の6割超え

 今年夏の高校野球は最初の3日間は朝夕の2部制で行われた。また、各地の地方大会でも決勝の開始時間を変えるなど酷暑対策が実施され、高校野球もいろいろと変化の兆しが見えている。

 今回は通算最多勝利を誇る中京大中京高をはじめ、早実、智弁和歌山高、大阪桐蔭高、明徳義塾高、広陵高、熊本工など甲子園通算勝利数で上位に入る名門校が多数出場した。しかし全体的にみると、春夏合わせた出場回数は10回以下という中堅校の出場も多い大会となった。

 その結果、「春夏通じて甲子園に初出場した高校」の数に今年は変化が出た。昨年夏は6校あったが、今年は聖和学園高(宮城県)と新潟産大付高(新潟県)の2校のみとなっている。

 そこで、都道府県別に甲子園に出場したことのある高校の割合を調べてみた。

 今年の参加校のうち春夏1回でも甲子園に出場したことがあるのは初出場2校を含めて1046校となり、出場率は30.4%である。地方大会参加校の3割超が甲子園に出場したことがある。

 しかし、これはあくまで平均値。

都道府県によって比率は大きく異なっている。高校野球に力を入れているごく一部の学校しか甲子園に出場できない県と、多くの学校が次々と甲子園に出場している県がある。

 なお、現在では部員不足の高校は他校と連合して出場することができる。連合チームは各地にあり、本稿では連合チームも1校としてカウントした。

 夏の予選参加校と、そのうち春夏合わせて甲子園に出場したことのある学校の比率を一覧表にしたのが、「甲子園出場歴を持つ高校の割合が高い都道府県ランキング」である。では、今回1位となったのはいったいどの都道府県だろうか。早速、1位から5位を見てみよう。

佐賀県では
6割以上が甲子園に出場している

 全国一出場率が高いのは佐賀県である。参加36校に対して出場校は昨年夏に初出場を果たした鳥栖工まで22校もあり、実に61.1%と出場率は6割を超えている。今年の県大会ベスト8はすべて県立高。そして、そのうちの3校は甲子園出場経験がなく、出場校数はまだ増えそうだ。

 次いで高いのが、全国で最も参加校が少ない鳥取県。

今年の参加校は昨年より1校減って22校となったため、出場率は59.1%に上がり、順位も昨年の5位から2位となった。鳥取県では選抜大会の選考資料となる秋季中国大会には22校中3校が進出、地元開催の年には4位校まで出場できるなど、甲子園には出場しやすい状況となっていることも大きい。

 3位は宮崎県だ。46校の参加校に対して、昨年初出場を決めた宮崎学園高まで27校が出場。出場率は58.7%でこちらも6割に迫っている。

 宮崎県は1954年まで春夏通じて1度も甲子園に出場したことがなく、全国で最も遅く初出場を果たした県である。つまり、戦前は強かったが今はさっぱりという学校があるわけではなく、初出場以来70年間に27校が次々と甲子園初出場を果たしてきたことになる。同県ではどの高校にも甲子園のチャンスがあるといっても過言ではない。

 続いて4位は58.54%の山口県。参加校は53校と比較的多く、うち31校もの学校が甲子園に出場している。かつては下関商、その後は宇部商の強い時期が続いたが、現在は戦国時代。次々と新しい学校が登場してくる。

168校参加する神奈川県が19校しか甲子園に出場していないことを考えると、31校という山口県の出場校の多さがわかる。

 5位は和歌山県の58.3%。古くは和歌山中(現在の桐蔭高)、戦後は箕島高、現在は智弁和歌山高が出場を独占しているようにみえるが、一昨年春には和歌山東高、今年春には創部120年目の耐久高が初出場するなど、選抜にはいろいろな学校が出場している。

 なお、『甲子園出場歴のある高校の割合が高い都道府県ランキング2024【全47都道府県・完全版】』では47都道府県全ての順位を発表している。さらに、甲子園出場歴がある高校が最も少ない神奈川県が、「甲子園出場激戦区」といえる理由も解説している。こちらもぜひ、ご覧いただきたい。

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