持続性のある「まち」はどこか
4つの指標から見える実態とは

 地域の過疎化や少子高齢化などの課題に対して、各地方自治体は地域の持続性を保つための対策を行っている。

 この対策には、住民が幸福であり、住民が暮らしに満足を感じ、地域への愛着を感じ、ずっと住み続けたいと思う人が多いことが重要である。

 ブランド総合研究所は、都道府県ごとに住民の幸福度や定住意欲度、住民の悩みや地域の課題などを数値化する調査『第6回幸福度調査2024』を実施。調査において地域の持続性に関する4つの指標(幸福度・生活満足度・愛着度・定住意欲度)の平均値を、都道府県の「持続度」として算出した。

 4つの指標が高いほど「まち」の持続性が上がり、他県に移住したい人が少ないため、「消滅しないまち」と考えることができる。

 今回は、この「持続度」に基づいて自治体に順位をつけた「消滅しない都道府県ランキング2024」を紹介する。

 沖縄県が高評価を得た理由の一つに、住民の地域に対する「誇り」がある。「お住まいの都道府県を誇り(自慢)に思いますか」との問いに対して、「とても誇れる」が48.1%、「やや誇れる」は28.5%で、合計7割以上が地域を誇りに思っていると回答した。

 ブランド総合研究所の田中章雄社長は、「沖縄県は生活満足度の要因として、『自然環境』や『食材、食文化』が大きく寄与している。自然が豊かで、都会的でない特徴が満足感へとつながっている。全国的にも自然の多い地方の県が高評価を得ている傾向が見られる」と述べた。

 一方で、愛着度と定住意欲度ともに前年より大きく低下した都道府県が大半を占め、47都道府県の平均は74.8点から71.1点に減少した。

ランクが急上昇した自治体も
「持続度」を底上げした指標とは?

 そんな中でも、順位が急上昇した自治体は複数ある。前年14位だった宮崎県が4位に、16位だった石川県が5位に、13位だった香川県が7位に、そして22位だった和歌山県が8位にランクインした。

 特に和歌山県は、生活満足度の評価でも23位から3位へと同様の上昇が見られる。田中社長は、「特に20代男性の評価が増加している」と指摘する。具体的に20代男性の持続度の指標を見てみると、和歌山県は前年の62.9点から71.5点に上昇した。

 この変化には、アドベンチャーワールドの人気など、地域のイベント再開や観光名所の活性化が影響していると考えられる。

 また、能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県では、「幸福度」の順位は前年よりも低下しているが、「生活満足度」「愛着度」「定住意欲度」の順位が前年より上昇している。特に愛着度が14位から4位、定住意欲度が15位から7位と大きく上昇した。

 田中社長は、「金沢市など県内の多くの市町村で、生活に困るほどの大きな被害を受けていない人たちは、大きな被害を受けた地域や人々への支援や応援の意識を強めた。これは、石川県への愛着そのものではないか。結果として、被害を受けたにもかかわらず地域に対する愛着が他県よりも高まり、定住意欲度も上昇したのだろう」と分析する。

(フリーライター 西嶋治美)

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