アベノミクスによって企業業績の改善が進めば、さらなる株高が期待できるだけでなく、増配によって高配当を狙える銘柄もますます増えるはず。高配当株を5年、10年と長期保有すれば、株価がさほど大きく上がらなくても、あるいは多少下がったとしても、配当の累積だけでそれなりに稼ぐことができるはず。

攻めの投資ではないが、堅実な守りの投資を今こそ始めよう。

高配当株の王道銘柄の武田薬品工業を
買って8年保有したら儲かる確率が大!

 株投資には、株価が安いところで買って値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う方法のほかに、企業から株主に支払われる配当(インカムゲイン)で稼ぐ投資法もある。配当は、企業が稼いだ利益の一部を株主に還元するものなので、業績があまりにも悪いと、減配や無配となる場合もある。

 ただ、「株主への利益還元に力を入れる上場企業は増えており、日本株の配当は今期も増加する見通しです」と語るのは、野村證券チーフ・ストラテジストの田村浩道さん。

 一方で、「安定的な配当を得るためには、業績が景気に左右されにくい銘柄を選ぶのが望ましい。代表的なのは通信や医薬です」とアドバイスするのは、大和住銀投信投資顧問のファンドマネジャー、窪田真之さん。

 たとえば薬最大手の武田薬品工業(4502)の場合、1株当たり配当はこの10年で88円(04年)から180円(13年)まで増えており、10年間の配当の総額は1570円に。

 武田薬品を年代別に8年間保有した場合、96年以降では7勝3敗。負けた3年も、金融危機前後の3年間に売却した場合のみ。株価上昇率がマイナスでも配当と合計するとプラスの年が3年もあり、直近3年は全勝だ。武田薬品工業(4502)は09年3月期こそ赤字だが、翌年は黒字転換を果たしている。

⇒武田薬品工業(4502)の最新の株価情報はこちら

 「理想を言えば、リーマンショック直後の09年3月期でも赤字を出さなかったような企業のほうが、業績が底堅く、高配当株投資に向いているといえます」と窪田さん。

 反対に、資源相場や外需の変化に業績が影響されやすい商社、電機、自動車などは株価が大きく変動しやすいため高配当狙いの投資には向いていないようだ。

 「配当性向をきちんと公開しているかどうかも、銘柄選びのポイントです」とは、前出の田村さん。配当性向とは、最終利益に占める配当の割合のこと。一般には、その割合が大きければ大きいほど、株主への還元姿勢が強いと言える。

同じ高利回りでも商社や外需銘柄ではなく
通信・医薬などの業績安定銘柄が狙い目

 もっとも、どんなに配当利回りが高くても、株価が上がり過ぎているときに買ったら、せっかくのインカムゲインが株価下落の損失によって食われてしまう可能性が高まる。

 投資対象に高配当株を組み入れ、1億7000万円を達成した個人投資家のWWW9945さんは「怖がらずに株価が大きく下げたところで買うこと。そうすれば下値不安が小さくなり、より高い配当利回りも享受できます。株価が上昇したら利益を確定して、また下がったところで買い戻せれば理想的です」とアドバイスする。

 ところで、現在発売中のダイヤモンド・ザイ9月号では、こうした長期でのほったらかし投資にピッタリの高配当株24を掲載している。日経平均が1万5000円を前にして再び調整している今こそ、こうした高配当株をしっかり買って長期で保有してみてはいかがだろうか。ちなみに24銘柄はすべて10万円程度で買えるので分散投資も可能だ。

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