ローソンがついに不採算店の改革に着手した。2016年春までに、100円ショップ「ローソンストア100」と、小型スーパー「ローソンマート」の計約300店を閉店。
これに伴い、数十億円の特別損失を計上する見通しだ。

 セブン-イレブンに対抗できるコンビニエンスストアの新業態はないか。そんな模索をしていたローソンが目を付けたのが、低価格路線だった。

 99円商品をウリにした「ショップ99」を運営する九九プラスを08年に子会社化。ショップ99から転換した店舗も含め、ローソンストア100は1117店まで拡大している。

 さらに、ローソンストア100の“進化型”として14年2月に登場したのが、野菜などの生鮮食品や総菜を扱うローソンマート。こちらは3年で500店まで拡大する目標を掲げていたが、現状では39店にとどまっている。

 そもそも低価格路線への傾注は業界で疑問視されていた。定価販売が基本のコンビニの強みが生かせないためだ。実際に、競合するイオンの小型スーパー「まいばすけっと」などの攻勢に遭い、コンビニより安いがスーパーより割高という、「中途半端な業態」(業界関係者)に成り果ててしまった。

 挽回しようと、通常のローソンで扱う商品を増やしたことも裏目に出た。100円商品の比率が約6割にまで低下し、「100円均一というコンセプトを外れ、通常のコンビニと差別化できなくなってしまった」(ローソン幹部)のだ。

50店はドラッグ型に

 結局、不採算店の多くは日販(1日当たりの平均売上高)が30万~40万円と、通常のローソンより10万~20万円も低い状態に陥っている。

 今回閉店するのは、首都圏や福岡市、仙台市など都市部で、35坪以下の小型の直営店が中心になる見通し。ローソンマートはデビューからわずか1年で撤退である。

 残る店舗については、100円商品の比率を8割まで引き上げ「原点に立ち返る」(同幹部)ことなどでてこ入れを図るという。

 閉店する300店のうち、約100店は健康志向の「ナチュラルローソン」や、高級スーパー「成城石井」など別業態へ転換する方針。とりわけローソンが期待を寄せるのが、50店程度を転換予定の、大衆薬や日用品を強化したドラッグストア型コンビニだ。

 1月27日にはドラッグストア大手のツルハホールディングスとも提携。新業態の“ドラッグコンビニ”を今後3年で500店まで拡大させる計画だ。

 とはいえ、これはかつてマツモトキヨシホールディングスと提携しながら掛け声倒れに終わった業態でもある。次世代コンビニとして成長させるためには、失敗の教訓を生かすことが必要といえる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

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