セブン-イレブンに対抗できるコンビニエンスストアの新業態はないか。そんな模索をしていたローソンが目を付けたのが、低価格路線だった。
99円商品をウリにした「ショップ99」を運営する九九プラスを08年に子会社化。ショップ99から転換した店舗も含め、ローソンストア100は1117店まで拡大している。
さらに、ローソンストア100の“進化型”として14年2月に登場したのが、野菜などの生鮮食品や総菜を扱うローソンマート。こちらは3年で500店まで拡大する目標を掲げていたが、現状では39店にとどまっている。
そもそも低価格路線への傾注は業界で疑問視されていた。定価販売が基本のコンビニの強みが生かせないためだ。実際に、競合するイオンの小型スーパー「まいばすけっと」などの攻勢に遭い、コンビニより安いがスーパーより割高という、「中途半端な業態」(業界関係者)に成り果ててしまった。
挽回しようと、通常のローソンで扱う商品を増やしたことも裏目に出た。100円商品の比率が約6割にまで低下し、「100円均一というコンセプトを外れ、通常のコンビニと差別化できなくなってしまった」(ローソン幹部)のだ。
結局、不採算店の多くは日販(1日当たりの平均売上高)が30万~40万円と、通常のローソンより10万~20万円も低い状態に陥っている。
今回閉店するのは、首都圏や福岡市、仙台市など都市部で、35坪以下の小型の直営店が中心になる見通し。ローソンマートはデビューからわずか1年で撤退である。
残る店舗については、100円商品の比率を8割まで引き上げ「原点に立ち返る」(同幹部)ことなどでてこ入れを図るという。
閉店する300店のうち、約100店は健康志向の「ナチュラルローソン」や、高級スーパー「成城石井」など別業態へ転換する方針。とりわけローソンが期待を寄せるのが、50店程度を転換予定の、大衆薬や日用品を強化したドラッグストア型コンビニだ。
1月27日にはドラッグストア大手のツルハホールディングスとも提携。新業態の“ドラッグコンビニ”を今後3年で500店まで拡大させる計画だ。
とはいえ、これはかつてマツモトキヨシホールディングスと提携しながら掛け声倒れに終わった業態でもある。次世代コンビニとして成長させるためには、失敗の教訓を生かすことが必要といえる。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)