利回り5%超もある連続増配株の大特集が載っているダイヤモンド・ザイには特大別冊付録「億万長者224人の投資の思考術&儲け方」が付いている。今回はこの中に掲載されている個人投資家の億を作った投資法を紹介しよう。
万年割安を回避するため火種材料も重視する!
中学生の時に元手40万円から株を始め、平成バブル崩壊や、ITバブル崩壊なども経験してきた「かぶ1000」さん。
継続して安定的に上がる株で資産を大きく増やすことができないかと考えていたところ、ITバブル崩壊時に逆行して上昇していたバリュー株投資の有効性を痛感。2000年から年平均38%増を達成し続けている。
2億円以上の資産を築いたかぶ1000さんが狙う割安株は、“バリュー投資の父”として知られる米国の有名投資家の1人、ベンジャミン・グレアムが提唱する「ネットネット株」と、「資産バリュー株」だ。
グレアムが言う「ネットネット株」とは、現金などの流動資産から負債総額を引いた額の3分の2が時価総額よりも多く、株価が割安と判断される銘柄のこと。
「少しアレンジして、この正味流動資産に在庫評価額を入れず、有価証券を含んだ額から貸倒引当金や負債合計を引いた額が、時価総額よりも多ければ割安とみなしています」
ネットネット株を見つける際の流動資産の価値は、決算短信のデータで算出できる。
かぶ1000さんが、2012年に買って成功した日新製糖(2117)は、下記の算出方法で、流動資産の価値が時価総額を大きく上回っていたため、ネットネット株の条件を満たし、業績の安定性が高い点で注目。
それだけでなく、かぶ1000さんは、バリュートラップ(万年割安株)にはまるリスクを減らすため、株価上昇の火種になる材料があるかどうかも重視。その点では、配当利回りが4%台と高かったため、折に触れて注目されると考えた。その後、アベノミクスによる株高の中で上昇率はマイルドだったが、2015年に東証1部上場と大幅増配をきっかけに急騰。配当利回りが3%以下まで低下したところで、利益確定した。
時価総額200億円の指数連動率が低い小型株で勝負しただし1銘柄の投資額は資産の20%以下に抑える!
また、もう1つの「資産バリュー株」は、時価総額÷純資産で算出する普通のPBRではなく、資産の含み益も加味した実質的な資産額で評価する。
2013年の東京オリンピック決定時に土地の含み益があることで注目され急騰したニッピ(7932)は、資産バリュー株として株価が落ち着いた2014年に買ったが、iPS細胞関連でもあり、バイオ関連が買われるたびに上昇している銘柄だ。
対象銘柄は、時価総額200億円以下と決めている。
「アナリストがカバーしない時価総額が低い銘柄にこそ、株価が適正に評価されず割安に放置されているものが多い。大型株は指数が下がると連動して売られるリスクがありますが、小型株は連動しにくいので相場に左右されにくくなります」
また、資産評価が難しい金融業や、移り変わりが激しいIT関連など、苦手な業種には手を出さない。そして、買う時の理由がなくなってしまった時は損切りもいとわない。現在の主力銘柄は17銘柄。あまり多くに分散しすぎると1銘柄あたりの投資額が減って調査や分析がゆるくなるため、このくらいで緊張感を持ちつつ投資するのがその理由だ。
「年率で20%程度の資産増が現実的なラインと考えているので、無理をしないのがモットー。ミスした時に大きく損したくないので、1銘柄に資産の20%以上は入れないようにしています。また、割安だと思った時に買いに動けるように常に10~15%は現金を残しておきます」
そして、今は値動きが大きいので、「ほったらかしにはせずに、ある程度利益が出たら利益確定も大事」と考えているかぶ1000さん。
「大きく減らさないことを大前提に今後も年20%以上の増加を狙います。
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