作家・楡周平による小説「黄金の刻 小説 服部金太郎」(集英社刊)をドラマ化した本作。
日本初の腕時計、世界初のクオーツウォッチを発売したことで知られる「セイコーグループ」の創業者である服部金太郎の波乱の人生を重厚に描き出す今作。丁稚奉公から時計修理職人を経て、時計の製造工場「精工舎」を設立し、国産初の腕時計を製造販売。常に時代の先を読み、「義理」「人情」「恩義」を大切にしながら、一歩ずつ己の夢を叶えていった金太郎だが、一方で火災や震災など、数々の困難が彼の人生を襲う。
<あらすじ>
昭和7年。「服部時計店」の本社では、社長・服部金太郎(西島)、妻のまん(松嶋)らが集まり、金太郎の古希のお祝いの準備が進められていた。その会に出席する岩倉善路(濱田)と金太郎が出会った過去が回想される――。
明治7年。洋品雑貨問屋「辻屋」の丁稚である服部金太郎(水上)は、同じく丁稚の善路らと仕事に邁進。金太郎の真面目な姿を見ていた社長・辻粂吉(船越)から信頼され、娘の辻浪子(吉川)が通う長唄教室の迎えを任されるなどしていた。
とある事件を機に、時計商への道を歩み始めた金太郎だったが、ついに明治11年、自宅に「服部時計修繕店」を構えることに。丁寧な作業が評判になり、3年後には「服部時計店」を創業するまでに成長。そこで時計の修理依頼に訪れ、後に妻となるまん運命の出会いを果たす。そんな順風満帆の金太郎に思いもよらぬ災いが降りかかり……!?
徐々に店も繁盛し、輸入会社「ブルウル兄弟商会」の吉邨英恭(高嶋)からの申し出で、金太郎は海外製の無地の懐中時計を仕入れた。
その後、金太郎は風変りな職人だが確かな腕を持つ川鶴彦(山本)と出会い、国内初の腕時計の製作を目指す。同じころ、金太郎へ恨みを持つ善路は、スイス人の時計商・アズナブールと組み、金太郎の商売の邪魔をするべく暗躍することに――。金太郎は、自身が惚れた職人や従業員の技術、人柄を信じて困難を乗り越え、順調に事業を拡大していく。
現在、あたりまえとなっている正確な時間の重要性に気づき、日本を代表する稀代の起業家となった服部金太郎。彼がどのような試練を乗り越えて「東洋の時計王」と呼ばれるまでになったのか――?