4月5日(金)23時15分(※一部地域を除く)に放送されるテレビ朝日のバラエティ番組『さよなら大好きな場所』の収録が行われ、出演する劇団ひとり杉野遥亮井桁弘恵が収録後に番組の見どころや収録の感想を語った。

本作は100年以上続いた飲食店の閉店、生徒が2名だけの中学校の閉校など、人々に愛された“大好きな場所”の「最後の時間」を切り取るドキュメンタリーバラエティ。
プロのカメラマンではなく、常連客・生徒・地元住民が自らカメラを持って大好きな場所を撮影し、その場所に宿った人々の想いが溢れるハンドメイドな映像が放送されるのも見どころとなる。進行を島本真衣アナウンサーが、番組ナレーターを山時聡真、清原果耶が務めている。

――収録を終えての感想を教えてください。

劇団ひとり:すごく面白かったです。企画自体は『中居正広の土曜日な会』でやっていたもので、好評につき、独立してやることになったのですが、(前回の)オンエアから2か月くらいしか経っていないんです。クオリティはより上がって、濃密なVTRになっていて、胸打たれました。


杉野:僕は今回初めて参加させていただきました。殺伐としたこの世の中で、このような人の温かいところに触れられるような番組に出演できて良かったなというのが正直な気持ちです。来る前よりも元気になった気がします。

井桁:こんなに涙が溢れるというか、1本目からグッときてしまって……。自分の気持ちをきちんとペース配分できなくなるくらい気持ちが高まるVTRばかりでした。しかも、一般の方のご厚意で動画を回していただいて、それを見られるのはなかなか体験できないこと。
すごく素敵な、貴重な映像を見させていただいたなと思います。みなさんの人生のすごく大事な思い出を分けていただいたという感じです。温かい気持ちになりました。

――今回、埼玉県坂戸市の町中華「龍馬」、兵庫県再度山の山の食堂「燈籠茶屋」、福島県川前地区の桶売中学校の3か所の閉店・閉校の様子がVTRに登場しました。印象的だったVTRはありますか?

劇団ひとり:100年続いたお店が終わるその瞬間を見られたのは貴重でしたし、100年続いた最後のお客さんが運命を感じる人で、短い中にも、ものすごくドラマがありました。

杉野:僕は学校のVTRが印象に残っています。
青春時代をあんな風に過ごしてみたかったなと思いましたし、ああいった人間関係や、地域のコミュニティの築き方などを、羨ましいなと思って見ていました。

井桁:中華料理のお店のお客さんが言っていたコメントがすごく印象的でした。「お店の周りに漂う匂いまで好きだったし、そこも思い出だった」というのを聞いて、確かにと思ったんです。お店の周りの風景や雰囲気も含めて、いろいろな方の思い出だったんだろうなって。味だけではない、いろいろなところに思い出があることを改めて感じさせられました。

――思わず感情移入してしまったところはありますか?

劇団ひとり:普段、街で見かけるなんでもないお店や、隣で食べているなんでもない人など、普段は何も思わずに見過ごしてしまう人たちにも、改めてそれぞれいろいろなドラマがあるんだなと思いました。
全員に感情移入したと思います。

杉野:学校のVTRの学生2人です。自分は経験したことのない世界で、見ていて感情移入していましたね。卒業というところにグッときました。

井桁:中華料理のお客さんが、「もっといろいろなものを食べておけば良かった」と後悔を口にしているシーンがあって、そこに共感しました。ずっとあると思っていて、当たり前のことのように思っていたものにも終わりが来る。
だからこそ無性に愛おしくなる、そこに人間らしさを感じました。日常の中で、普通にあることもいつか終わりを迎えるかもしれない。そういう心構えで私も日々いろいろなことに向き合っていきたいなと思いました。学びがたくさんありました。

――『中居正広の土曜日な会』からの派生の企画で、番組としてどんなところがパワーアップしたと感じましたか?

劇団ひとり:ここまで早く独立すると思っていなかったですし、『中居正広の土曜日な会』でやっている時より、見やすかったです。テンポも良くて、今まではお店ばかりだったのが、お客さん側のドラマも見ることができたので、より深みが増したと思います。


――この番組をどういう人に見てもらいたいですか?

劇団ひとり:僕は都会に住む人たちに見てもらいたいです。僕だけかもしれないですが、お店の人とここまで密になることは都会だとなかなかないと思うんです。正直、何年も通っているのに誰が料理作っているのかわからないお店もあります。都会で暮らす人にこそぜひ見てもらいたいです。

杉野:僕はベッドタウンの人たちに……。

劇団ひとり:ベッドタウンの人たち?

杉野:僕の住んでいた地域がベッドタウンだったので、あんなお店があればよかったなって(笑)。

井桁:20代とか同年代の人に見ていただきたいです。なかなか通いつめたお店というのがまだみんなないと思うんです。あとはすごく魅力的な若い人がたくさん出てくるので、「まだまだ20代も負けられないぞ」という気持ちになって欲しいです。

――Z世代のお二人からはこういう昭和な場所が少しずつなくなってしまうことをどんな風に見ていますか?

杉野:寂しかったです。ああいう古き良き場所、目に見えて派手ではないけれど、もう少し心で感じる……例えば100年続いたお店とか。ああいうところがなくなるのは行ったことがないのに悲しいなと思いました。

井桁:収録中、ひとりさんが仰っていたことがすごく印象に残りました。今はお店の情報は、レビューなどで数値化されていて、Z世代の子たちはなんでも点数や評価で見てしまうんです。なかなかそのお店の人の人柄や場所で評価をした経験がない世代だと思います。数値では測れないお店の良さを、この番組ですごく感じられると思います。

――今後、この番組をシリーズ化していきたいですか。

劇団ひとり:いろいろお店を紹介していった上で、1年後や2年後に閉店後の思いなどを聞いてみたいですね。久々にその料理を作って常連さんに食べてもらうとかそういう派生も見てみたいですね。シリーズ化もしていきたいですが、レギュラーになるということは毎週店が閉まるということでしょう……レギュラー化は厳しい内容かもしれないですね(笑)。

井桁:たまにやるからこそですね(笑)。

取材・文:名鹿祥史