2021年は三菱自動車の軽自動車がデビューしてから60周年にあたる節目の年である。その記念すべき最初のクルマは1961年にデビューした「三菱360」であった。
三菱は1955年ごろから軽四輪自動車の開発に着手していたが、1950年代後半から軽四輪車の重要が急速に高まってくると本格的な開発に移行。中小の商工業者向けに商用バンタイプのモデルを企画した。
【画像】丸目が可愛い三菱360
ボディはフレームレスのモノコック構造で、軽量かつ堅牢な設計。エンジンはこのクルマのために新開発した強制空冷2サイクル直列2気筒359㏄(17馬力/2.8㎏m)を搭載。当時、軽自動車ではリヤエンジンが多かったなか、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)の駆動方式を採用していた。先行して登場した小型乗用車の「三菱500(1960年4月発売)」と歩調を合わせて、エンジン排気量を車名に取り入れて「三菱360」と命名された。
当時、軽乗用車の人気が高まりつつあったため、その外観には商用車ながら乗用車ライクなデザインを採用。「広く、低く、美しく」に重点を置いたスマートな意匠を意識したという。
1960年秋の東京モーターショー(当時は「全日本自動車ショー」)に出品された後、1961年4月に発売された(この発売から今年で60周年)。同年10月にピックアップ車を発売し、翌1962年10月には、ライトバンをベースとして後部にトランクルームを設けたセダンタイプの軽乗用車「三菱ミニカ」を設定した。
その系譜は、現在の軽乗用車「eKワゴン」や「eKスペース」に引き継がれ、人々に親しまれている。
〈文=ドライバーWeb編集部〉