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使い勝手の部分では、助手席スーパースライドシートを廃止している。先代の2代目で導入した売りのポイントの1つだっただけに、なぜ廃止になったのか? 非常に気になるところ。そこで新型N-BOXのインテリアデザイナー、藤原名美氏に廃止の理由について伺った。
助手席スーパースライドシートは2017年に登場した2代目N-BOXに導入。助手席に軽乗用車初となる570mmのロングスライド機構を装備し、前席をベンチタイプではなくセパレートシートとすることで後席と運転席間の移動を容易にした点が特徴だった。
例えば、リヤのスライドドアを開けて子供をチャイルドシートに座らせて、そのまま車内から運転席にアクセスすることができる…といった使い方が可能な点がポイントだった。
「今回のフルモデルチェンジでスーパースライドシート仕様を廃止したのは、設定グレードをお選びいただいた割合とか、実際に購入されているお客様がロングスライドしてウオークスルーをするという使用頻度が少なかったからです。スーパースライドシート仕様車を購入したのに、活用されずに通常のシートとして使われているといったシーンがけっこう見られたようです。販売の割合が少なかったことも含め、今回は助手席の前に装備されるグローブボックスの容量を大きくしたいという狙いもあり、スーパースライドシート仕様のグレードの設定を見送りました。
スーパースライドシートをなくしたことでグローブボックスは従来型に比べ容量を2倍に拡大しています。少しマニアックな話になりますが、スーパースライドシート仕様が設定されていたため、衝突対策や安全性能の関連でグローブボックスを大きくできなかったのです。また、ウオークスルーするときにシートが一番前に移動しますが、そのときにドライバーが脚を抜くために助手席をできるだけ前に寄せなくてはいけなかったのですね。
このように、ウオークスルーができることで利便性が高まるといったメリットは大きかったですが使用頻度が少ないシートと、実際にお客様が使われる頻度の高いグローブボックスと、どちらが大事かをてんびんにかけた結果、今回はグローブボックスに重きを置いて企画したという感じですね」
限られた室内空間での収納スペースの確保と多彩なシートアレンジのせめぎ合いが繰り広げられ、今回はグローブボックスの使い勝手を重視した結果、スーパースライドシート仕様車がなくなったのである。
スーパースライドシートがもっと多くのグレードで選択できたり、たくさんの人が活用していたりしたら、違った結果が生まれていたかもしれない!?
〈文=ドライバーWeb編集部〉