皆さん、次の問題が解けますか。

●サッカーのペナルティエリアの面積は、次のどれに近いでしょうか。

(1)10坪 (2)50坪 (3)100坪 (4)200坪

正解は、(4)の200坪。

これは、『新しい算数研究』を発行する東洋館出版社・川田龍哉さんに出題された問題で、お恥ずかしながら、自分は間違えてしまった。
だが、実は、この問題、大人でもほとんど間違える問題だそうで、同時に、いまの子どもたちの「弱点」が浮き彫りにされるものでもあるらしい。

平成20年4月に実施された文部科学省の結果が発表されたのは、8月末のこと。ところで、報道などでは、都道府県別の順位ばかりが発表されるが、気になる近年の傾向というのもある。

今回、全国の小学校6年生を対象に行われたテストのなかで、正答率が低かったのは、以下の問題だという。


●約1kgの重さのものを、下の(1)から(4)までの中から1つ選んで、その番号を書きましょう。
(1)空のランドセル1個の重さ (2)1円玉1枚の重さ (3)5段のとび箱全体の重さ (4)ハンカチ1枚の重さ

正解は(1)。この正答率は65.8%で、(2)を選んだ人は4.8%、(3)は25.5%、(4)は3.1%という結果だった。

では、次の問題は?

●約150平方センチメートルの面積のものを、下の(1)から(4)までの中から1つ選んで、その番号を書きましょう。
(1)切手1枚の面積 (2)年賀はがき1枚の面積 (3)算数の教科書1冊の面積 (4)教室1部屋のゆかの面積

正解は、(2)。正答率は17.8%で、(1)を選んだ人は1.3%、(3)は49.2%、(4)は30.6%だった。


ここからわかる傾向は、
「今の子どもたちは、計算などの問題はできるけれど、重さや面積といった量の感覚が乏しいこと」と川田さんは言う。
いったいなぜなのか。
「子どもの量感が育っていないのは、やはり生活体験が乏しくなっているからではないでしょうか。計算練習、ドリルなどに終始して、学習したことが生活とつながっていないということだと思います」
たとえば、1kgの重さは、水1リットルの重さであり、「普段から家庭でのお手伝いなどをしていれば、自然と身に付くこと」という。
一方、面積は、すぐに測れないし、日常で経験することもあまりないので、大人でも難しい。
「『○○平方キロメートルの森林が消失した』と言われてもピンときません。
東京ドームいくつ分と言われた方がわかりやすい場合もありますが、東京ドームを知らない人にとっては、イメージできないでしょう」

そして、この問題は面積の量感だけでなく、長さの量感と面積の公式の応用でもあると言う。
「与えられた数値をもとに、面積を計算するのは、非常に高い正答率です。しかし、150平方センチメートルは何センチ×何センチかということが思いつかない。せっかく勉強したことを活用できない。つまり応用力がないんです」

「CO2を1人1日1kg削減」などのように、日常生活でも数量で示されることは多いが、確かに、大人でもなかなかピンとこない……。

計算ばかりでなく、生活の上でも必要とされる「量感」は、われわれ大人も、勉強しなおす必要があるかもしれません。

(田幸和歌子)