名古屋名物の代表格のひとつ、きしめん。

それで、どこのきしめんがうまいのか、といった話題になったときに、こう挙げる人は多い。

「やっぱり、名古屋駅のやつが一番うまいんじゃない」

そう、「名古屋駅のきしめん」、それも新幹線ホームの立ち食いきしめんが一番だ、という声をよくきく。
自分もそれ派で、出張取材などで名古屋に行くときに食べる頻度、かなり高い。具は基本的には油揚げにほうれん草、そして花かつおをまぶすといったシンプルな構成。なにが決め手なのかはいまひとつ分からないが、とにかくうまい気がする。

そんな「名古屋に行ったときの楽しみ」が売っていた。その名も、「名古屋駅でおなじみのきしめん」。
そのまんまだ。
生タイプのカップ即席めんで、食べてみると、かつおだしの強い香りやツルンとした麺の食感など、「おお、近い!」と、名古屋駅を思わず思い出しそうな、再現度高い味。
「名古屋駅で」と、バッチリ商品名にうたってあるところからも、やっぱり冒頭の俗説「きしめんといえば名古屋駅」というのは正しいのだろうか。

発売元の寿がきや食品に、たずねてみたところ、発売は2005年とのこと。知らなかったな。この年は「愛・地球博」が開催された年で、愛知県に注目が集まった年でもあった。

「当社としましても、『名古屋めし』のひとつ、きしめんを全国のお客様に発信するために、インパクトのあるネーミングをということで、命名致しました」

なぜ「名古屋駅」なのかといえば、
「名古屋の玄関口である名古屋駅のきしめんには、出張の多いサラリーマンの方や旅行客の方に、なじみがある味ということがあります。名古屋駅に降り立つと漂ってくる、かつおだしの香りや味を再現しようとしました」
とのこと。
駅きしめんの味の再現のために、商品開発部の担当者が、実際に駅のホームの立ち食いきしめんを食べ歩き、味の研究をした末に、「一般の方がイメージする、これぞ名古屋のきしめんという味を完成させました」のだとか。

発売以来売れ行きは好調だそうで、現在では定番商品として定着しているとのことだが、販売はやはり名古屋圏が中心で、他地域ではなかなか入手できないのが、残念だ。

味噌カツに手羽先、ひつまぶし、それからあんかけスパと、他にも魅惑の「名古屋めし」は多々あるけれど、名古屋に行く機会ができたら、まずはホームで立ち食い、そしておみやげにカップきしめんといったコース、どうでしょう。
と書いていたら、超食べたくなってきた。
近いうちに名古屋方面に出る予定は、とりあえずないのだが。
(太田サトル)