いよいよ師走。年末年始の帰省も間もなくやってくる。


ところで、先日、高速バスのなかで、ちょっと気になる光景を見た。

女子大生風の3人組が乗ってきたのだが、そのうち一人が、自分の席の隣席に座っている中年男性を見て、おもいきり顔をしかめたのである。

男性は寝ている様子で、彼女に話しかけたわけでも、足を隣に投げ出しているわけでも、「酒臭い」などの異臭を放っているわけでもない。
なのに、通路をはさんだ仲間の2人に顔を向け、「うわ~サイテー」などと言い、ムリヤリ補助椅子を取り出そうとしたり、ずっと自分の足を隣席から遠ざけ、友人たちのほう、つまり通路に投げ出していたのである。

おそらく彼女のなかでは、「若い女性&中年男性」の相席において、得をしているのは一方的に男性であり、「若い女性=被害者」くらいの意識なのだろう。でも、それって……?

乗り物では「相席」はつきもの。
嫌な思いをすること、知らず知らずのうちに相手にさせてしまうことがあるけど……。
「相席」にまつわるエピソードを知人・友人から集めてみたところ、以下のような例が挙がってきた。

「自分の場所をこえて、脚を広げて座ってる男性は多い。知らない人の膝が自分の膝に触れるのは、やっぱり不愉快」(30代女性)、「隣の男性が靴を脱いで座っていて、足のニオイが強烈だったけど、ニオイは本人のせいではないので、ガマンした。辛かった」(20代女性)、「太陽がまぶしくて、カーテンを閉めたかったけど、自分は通路側の席だったので、ずっと言い出せなかった」(30代男性)、さらに、「自由席で混雑していなければ、たとえば3人並びの席だと、普通は暗黙の了解で、1つ空けて座るもの。なのに、ガラガラになってもピッタリ隣に座っている人がいて、おかしいと思ったら、手が膝に……痴漢だった!」(30代女性)などの声も。

その一方で、「途中から空いてきたとき、別の広い席に移動するほうが良いのか、それとも、わざわざ移動すると、隣席の人が嫌みたいに見えて失礼なんじゃないかと迷ってしまう」(30代女性)という声もある。

また、新幹線や高速バスで、「団体さん」たちの席の間に、自分がたまたま入ってしまうケースもあるけど……。それに関して、こんな対照的な声も聞かれた。
「ボックス席でおばちゃんたち3人組に囲まれた感じになってしまって、みかんとか漬物とか、いろいろもらった。でも、ホントは放っておいてほしかった……」(30代男性)
「おばちゃん集団の席に入ってしまったけど、お菓子のやりとりなど、自分だけスルーされた。自分だけ仲間じゃないので、これは当然のことなんだけど、“空気”みたいな扱いでちょっとだけ傷ついた」(30代女性)

嫌だと思うこと・感じることは、人それぞれ。
自分が意図していないところで、誰かに迷惑をかけていることもある。
とはいえ、少なくとも、「自分がされて嫌なこと」だけはしないように気をつけたいと思いました。
(田幸和歌子)