先日、事情があって、小学生の娘の携帯電話を購入したのだが、翌日に妙なメッセージが届いた。

コールはなく、着信履歴に「○○(携帯会社名)お留守番」とだけ表示されていたので、聞いてみると、女性の声で録音されていたのは、次のようなもの。


「お客様カスタマーセンターの○○と申します。通信料金の件で、至急03-△△××-○×○×までご連絡ください」

娘が携帯電話を初めて使用したこともあり、「わからず、ヘンな操作をしたのでは?」と不安になり、メッセージにあった電話番号に自宅電話から連絡すると、名乗らない男性が出た。
怪しいと思い、会社名を尋ねると、こう言う。
「いや、それよりあなたのお名前は? 会社からかけてるでしょ? 携帯番号は何番?」
以前、横行していた「ワン切り」に近いものと気づき、電話を切ると、今度は自宅に電話をかけてくる。

調べてみると、「ワン切り」でもなく「迷惑メール」でもない、声のメッセージは「ボイスメール」というもので、同時期に被害にあった人がネット上で相談しているものを何件か見つけた。
「新しい詐欺だ」という指摘もあった。


警察によると、「携帯電話の会社にその番号を知らせ、登録してもらうことで、いずれ使えなくしてもらうことはできる」というが、それにしても、携帯を購入した翌日にいきなりくるとは。
もしかして、こうした詐欺の手法が増えているのだろうか。いったいどういう手口なの? 携帯会社に問い合わせると、こんな回答があった。
「ボイスメールは1612を押して、相手の電話番号を押すだけで発信するサービスです。ランダムに送られているのでしょうね」
ワン切りの場合は、その番号にかけ直さないこと、迷惑メールにも返信しないというのは常識だが、自分はこの「ボイスメール」の存在を知らなかっただけに、うかつにもかけてしまったわけだ。
ちなみに、ワン切りなどは、無視すれば通話料はかからないが、この「ボイスメール」はかける側だけでなく、聞く側にも必ず料金がかかってしまうというから、なおのこと腹立たしい。


こちらから拒否することはできないの? と聞いてみると……。
「ボイスメールのサービスそのものを廃止するという方法はあります」
詐欺会社のためにサービスをまるごと廃止というのも、これまた腹立たしいが、この「ボイスメール」による詐欺、最近増えているのかどうかと聞くと、
「増えているという情報はありませんが、ボイスメールによるクレームが一時期多かったので、お客様の希望によって『廃止』できるようにいたしました」
とのこと。
どういうことかというと……。
「以前は、ボイスメールは留守番電話とセットで利用できる『標準サービス』だったので、もともとついていて、お客様の意志で『開始』や『廃止』ということはできなかったんです。それをご希望によって『廃止』できるようにしたということです」

多機能の製品が増え、頼んでもいないサービスやメニューをつけてくる商品は多いが、「廃止」をわざわざ選べるようにした意味が、犯罪対策にあったとは! もちろんボイスメールそのものが悪いものではないが、まったく、次々と様々な手を考えてくるものである。

ボイスメールによる詐欺、どうぞご注意を。

(田幸和歌子)