駄菓子屋の店先で、デパートの屋上で、子どもたちが順番を争うようにして遊んでいたゲーム機。家庭用ゲームともゲーセンのゲームとも違って、ちょっと得体の知れない謎のゲーム……。
遊んだ記憶、ありませんか?

最近ではなかなか見かけることができなくなったそんなレトロなゲーム機を30台以上展示し、しかもすべて実際にプレイすることができるという貴重なスポット、「駄菓子屋ゲーム博物館」が2009年3月8日にオープンすると聞き、急いで板橋区へ向かった。

目的地にたどり着くと、ゲーム博物館のオープンを記念したセレモニーがちょうど始まるところだった。くす玉が割られ、博物館のオープンが宣言されるとともに博物館内へなだれ込むキッズたち。そんな中に混ざってきました!

決して広いとはいえないスペースに、ぎっしり並んだゲーム機の数々。すべて館主自らがコレクションされたもので、昭和50年代に製造されたものが中心。そのプレイ料金は、一部を除いてなんと10円! うぉー、まずは両替だ!
(ちなみに両替機まで昭和53年製の年代もの。
100円を入れて機体側面のノブを回すと10円玉がジャラジャランと落ちてくる、電気を使っていないエコなマシーンだそうだ)

私が目をつけたのは「新幹線ゲームII」。昭和51年製造のゲーム機で、この博物館内でも一番古いものになるそうだ。ゲームメーカーの「ナムコの中村会長もお気に入りです」と貼り紙がしてある! これで遊んでみよう。

コイン投入口に10円を投げ入れると、入れた10円玉が盤面に転がり落ちてくる。本体側面の6個所に備え付けられたレバーをはじき、その10円玉を東京から博多まで連れて行くのが私の使命。しかし、道の途中には無数の危険な大穴が口をあけている。
なにせ自分の入れた10円が難所を飛び越えたりしていくのだから、レバーをはじく手にも思わず力が入る。さっきまでこの手の中にあった10円……、しかし次の瞬間、“彼”は新大阪のあたりで消息を絶った。

これはハマる! 博物館内の全てのゲームにいえることだが、難しい遊び方を覚える必要などなく、ぱっと見た瞬間にゲームの目的が理解できるところがいい。また、一つ一つの操作がダイナミックで、うまくいった時の手ごたえがたまらない。そのかわりミスをするととてつもなく悔しい。けどまあ10円だし……といった感じで延々プレイしてしまう! あと、あきらめた自分の次にプレイした子どもが目を疑うほどウマイのが悔しい!

私が遊んだ「新幹線ゲームII」を含む数台のゲーム機はリリー・フランキー原作の映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』のワンシーンにも出演しているというタレントぶり。
これらのゲーム機がそれだけ貴重だという証でもある。

それにしても相当年季の入っているこれらのゲーム機で、まったく支障なく遊べるというのはすごいことだ。メンテナンスは館主がご自分の手でされているそうで、「修理は大変なんですが、まあ、それが仕事ですからね!」と穏やかに笑っていらっしゃった姿が印象的だった。

幅広い年齢の人に楽しんでもらえるコミュニケーションの場にしたいという「駄菓子屋ゲーム博物館」、どなたにもオススメです!
(スズキナオ)

「駄菓子屋ゲーム博物館」
住所:東京都板橋区宮本町17-8
開館時間:土日祝日 10:00~19:00
平日 14:00~18:00
定休日:火曜日(祝日の場合、翌水曜が定休日)