今年も間もなく、花見の季節がやってくる。
新人に場所取りをやらせておいて、仕事を終えてから夜桜見物……最近はだいぶ減ったのかもしれないけれど、よくある職場のお花見パターン。
しかし、この夜桜見物、春爛漫の候だというのに温かかった記憶がまるでない。いつもいつも、寒かった気がする。

どうしてお花見は寒いのか。筆者の研究成果を発表!

○春はもともと寒い?
以前のコネタ『春は「暖かい」でいいのか』のとおり、春は秋に比べるとずっと寒い。
去年の東京のソメイヨシノ開花日(3月22日)~3月31日までの気温を調べてみよう。午後9時の平均気温は11℃で、12月中旬の昼頃(日陰)とだいたい同じ。
特に晴れの日は、放射冷却で気温の下がり方が大きい。たとえば満開前日の3月26日、昼間は20℃を超えるポカポカ陽気だったのに、夜10時には11.5℃まで低下。昼間のホカホカ気分のままお花見に向かった人は、痛い目にあったかもしれない。

○アルコールは体を冷やす?
冬山登山者に語り継がれる言葉にこんなものがある――行動中はアルコールを飲んではいけない――フラフラして危ないからだが、理由はそれだけじゃない。
アルコールは血行をよくし、その時は体が温まる。でも温かくなるということは、体の外へ逃げるエネルギーも増えるということ。
結局は体温を下げてしまうのだ。
長時間のお花見にも同じことが言えそう。寒さを感じなくなるほど泥酔して寝込んでしまうと、低体温症で救急車のお世話になる危険も。お酒はほどほどに。

○踊れば寒くない?
旧厚生省の資料をもとに計算してみると、歩行時の消費エネルギー(カロリー)は、座っている時の約2倍との結果に。人間、歩くだけで、体内で多くの熱を発するのだ。

お花見は基本的に座ってやるもの。だから寒い。温まるには踊るしかない??

○おしりから熱が逃げる?
花見会場と言えば、路面にブルーシートが定番だろうか。
日のあたる日中の路面はかなり温かいけれど、夜の路面は空気よりも冷える。さっき測ってみたら、気温が6.6℃で路面は6.0℃だった。そんな所にじかに座ると、おしりや脚から熱がどんどん逃げてしまう。
座布団持参で行くべし。

研究成果は以上である。春の夜のお花見にはかなりの覚悟が必要だ。目立つけどスキーウェアで行けば、きっと楽しめる。そのぐらいの気持ちで、ということで。
(R&S)