鶏肉にまぶすと、サクサクの唐揚げが、フライパンで焼いて作れてしまう粉末状の調味料『揚げずにからあげ』という商品がある。最近はこれのとんかつバージョンである『揚げずにとんカツ』も登場し、揚げ物業界に旋風を巻き起こしているのだが、そもそも何で、揚げ物を焼くだけで作れてしまうのか。
商品を販売しているヒガシマル醤油株式会社の担当者に、その仕組みを聞いてみた。

そもそも、「焼く」と「揚げる」は何が違うのか。調べてみると、最も違うのは、調理温度。フライパンの上で加熱する「焼き」に比べて、150~180度の油の中にどっぷり浸ける「揚げ」は、食材全体の温度が一気に高くなる。

調理の温度が高いと、食材の中の水分の蒸発量が増える。揚げ物をしたときに、油の中でシュワシュワ泡立つのは、水分が蒸発して水蒸気になり、食材から逃げているからである。
水分が逃げることで、揚げ物独特のサクッとした食感になる。

『揚げずにからあげ』、『揚げずにとんカツ』のポイントは、少ない油の量で、食材の水分を上手に逃がしている点にある。担当者さんいわく、「『揚げずにからあげ』では、特殊な焙煎加工の衣により、油の吸収が少なくても、サクッとした食感になるようにしています。また、『揚げずにとんカツ』でも、吸油を抑えた特製パン粉により、同じように少量の油で調理できます」のだそうだ。

他にも、工夫点はいろいろあるのだそう。担当者さんいわく、「『揚げずにからあげ』の場合、油が少ないと焦げやすいため、味付けや粉の種類、配合を工夫して焦げにくくしました。
また、唐揚げはお弁当の人気メニューですので、時間が経ってもサクッとした食感が維持できるように工夫しています。また、『揚げずにとんカツ』の場合、小麦粉、たまご、パン粉をつける手間を省くために、特製のまぶし粉により、衣が付着しやすくはがれにくいようにしています」とのこと。うーむ、奥が深い。

もっとも、最大の謎は、『揚げずにからあげ』を使って、焼いて作った唐揚げは、揚げ物なのか焼き物なのか、という点にあるだろう。
(珍満軒/studio woofoo)