筆者が小学生のころ、『ドラゴンボールZ』が最盛期を迎えており、昼休みに友達と「ドラゴンボールごっこ」をして遊んでいた。友達にかめはめ波を放ってみたり、全力で走って「10倍界王拳!」とかいっていたのが懐かしい。


ところで、現在ドラゴンボールに代わって人気を博している冒険マンガといえば、『ONE PIECE(ワンピース)』である。単行本全53巻の累計発行部数は1億5800万部で、日本のコミック発行部数の最高記録を達成中(2009年3月現在)。MYDIRECTORYが19~60歳の男女約8万人に行ったアンケート「好きな漫画は?」で総合1位になるなど、老若男女問わず人気のマンガである。世の子どもたちはワンピースごっこをやっていて、主人公ルフィのさまざまな「ゴムゴム技」を繰り出しているに違いない。どれくらい人気があるのか、子どもにくわしい大人たちに聞いてみた。

話を聞いたのは、戦い遊びに興味津々だと思われる、幼稚園児や小学生1、2年生の男の子をお子さんにもつ親御さん。さっそく何人かに、お子さんはどんなゴムゴム技を繰り出していますか? と聞いてみたところ、多くの方が「ワンピースですか? うーん、あんまり子どもが真似しているのは見かけないような……」と考え込んでしまった。

あれ、何かおかしい、と思いながらも情報収集してみたところ、「うちの息子は、風呂上がりの体からの湯気を利用して、『ギア・セカンド!』と言ってます」というご意見をいただいた。ギア・セカンドとは、足をポンプ代わりにして全身の血液を加速させるもので、正確には技というよりは、スーパーサイヤ人のような戦闘形態の一つに近い。また、「ゴムゴムパンチ、とか、ゴムゴムキック、とか言って騒いでる子を見たことがあります」とのご意見もあったが、そのようなシンプルすぎる名前の技は正式には存在しない。

どうも、ワンピースは子どもの遊びには向いていないようだ。それよりもむしろ、「仮面ライダーとか、戦隊ものの真似をしていることが多いですね」とのご意見が多かった。
また、「うちの子は小1ですが、ジャンプ漫画であればワンピースよりも『NARUTO -ナルト-』の方が人気ですね。螺旋丸がお気に入りみたいです。あとゲームでドラゴンボールも知っていて、たまにかめはめ波も打ってますよ」とのこと。

ではなぜ、ワンピースは遊びに向かないのだろうか? これについては、「多分、子どもがマネできないからじゃないですか」という鋭い指摘があった。ルフィは全身がゴムのように伸び縮みするゴム人間であり、手足を伸ばしたり体を風船のように膨らませることで様々な技を繰り出す。このような、現実にはありえない設定であるため、子どもがマネをすることができない。それに比べてNARUTOであればチャクラを練るときの仕草とか、ドラゴンボールであればかめはめ波の構えだけでもマネすることができる。また、仮面ライダーや戦隊ものであれば、専用の武器がおもちゃ屋で販売されているので、よりリアルに戦いを再現することが可能である。

ワンピースは大人向けのマンガである、という人が結構いるが、その理由は、意外とこのあたりにあるのかもしれない。いや、ないか。
(nadi/studio woofoo)
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