アイスクリーム、ソフトクリーム、シャーベット。この3つを頭に思い浮かべるのは簡単だろう。
でもそれぞれの違いをちゃんと説明できる人は意外に少ないのでは?

そこで日本アイスクリーム協会の方に3つの違いについて聞いてみた。
「見た目にはアイスクリームのようであっても、含まれる乳成分が一定以上なければ、法的にはアイスクリームとはいえません」

なんでも一般的にアイスクリームと呼んでいるものは、正しくは乳製品の「アイスクリーム類」にあたるという(※ただし本記事では通例にならって、アイスクリームと呼ぶ)。それらは乳固形分や乳脂肪分などの割合によって次の3種類に分類される。

・アイスクリーム……乳固形分15%以上、乳脂肪分8%以上
・アイスミルク……乳固形分10%以上、乳脂肪分3%以上
・ラクトアイス……乳固形分3%以上

上記のほかに1gあたりの細菌数や製造工程における定義もあるがここでは割愛する。また果汁に甘味を加えて凍らせたシャーベットは一般的に上記の分類には含まれず、一般食品の「氷菓」に分類される。

こうした成分の違いは味にどう影響するのか?
「プレミアムアイスクリームなど高級感を謳ったものは、乳固形分や乳脂肪分の割合が高いものが多いですね」
乳固形分や乳脂肪分が多く含まれていると、口あたりの良さや滑らかさが加わり、コクやミルクの風味が増す。


だが最近は、植物性脂肪を使ったラクトアイスなどにもかなり口どけがよいものもあり、乳固形分や乳脂肪分が多いほどリッチな風味、とは単純に言い切れなくなっているよう。もちろん、どちらが良いということはない。濃厚な味が好きか、あっさりした味が好きかというのは人の好みによっても違う。

ではソフトクリームとは何か?
「これは省令上の分類ではなく、工程上におけるひとつの呼び方です」
たとえば市販のアイスクリームは、フリージングした後、充てん・包装され、マイナス30度以下の低温で凍結させてから出荷する。ソフトクリームとはこの工程でいえば、充てん・包装前、フリージング直後の、いわば“出来立てのアイスクリーム”のこと。

つまり、ソフトクリームもアイスクリーム類の一種であり、その成分によって、「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」に分類されるのだ。


言葉の定義だけでいえば、家でもソフトクリームは作ることができる。アイスクリームを作り、まさに完成したその瞬間の出来たてこそがソフトクリームだからだ。ただし、アイスクリームの食べごろ温度はマイナス10度前後。対してソフトクリームの食べごろはマイナス6~8度と高め。店ではその温度で最も美味しく感じられるように工夫されていることも多いので、家でまったく同じ味わいを作るのは難しいかもしれないが。

細かい分類はともかくとして、とりあえずアイスをいただきますか。

(古屋江美子)