乗り物に乗ると、つい眠くなってしまう……という人は多い。

運転する人は「眠い」などと言っていられないし、助手席にいる人も当然、ナビするなり、なんらかのサポートをしなくては……とは思うもの。


だが、自分の場合、悪意などは微塵もなく、どうしても乗り物でほぼ反射的に眠ってしまう。
幼少時にかなり車酔いがひどく、ちょっと乗っただけで涙目&吐き気・頭痛に悩まされていた経験から、「車に乗ると、目をつぶる→いつの間にか寝ていた」というのが、おそらく習慣になってしまったのだろうとは思うのだが、仕事のときはそんな言い訳がまかり通るわけもなく、かなり辛い。

そんな話を自動車ライターの方にしたところ、
「確かに、乗り物に乗ると、眠くなっちゃうという人は多いですね。車の振動が心地よく、眠りを誘うというのもあるでしょうし、車のニオイとかで条件反射のようになっている人もいるかもしれません」
とのこと。

だが、運転する側では、当然「助手席で寝られて腹が立った」などと言う人も多いし、「助手席で寝られると、眠気がうつって困る」というのもよく聞く。
いったいどういうメカニズムで眠くなってしまうのか。
ロフテーの快眠スタジオ睡眠改善インストラクター・矢部亜由美さんに聞いた。

「助手席で寝られると眠気がうつるように思うのは、寝ている人の『呼吸』が、影響しています。寝ると、リラックス状態になって、呼吸数が減る傾向があるんです。困ったことに、隣からそうした呼吸音が聞こえてくると、そのリズムについ無意識に合わせてしまい、自分もリラックスした呼吸になって、眠くなってしまうということがあるんですよ」

ただし、眠気は「うつる」ばかりではない。
「たとえば、高速道路で運転しているとき、眠くなってしまうという人は多いですが、これは、風景が変わらず、退屈になってしまうこと。単調な作業をしているためということもあると思います」
さらに、ずっと座っていることで、疲れがたまっていることや、本人の睡眠不足なども考えられるそうだ。


ところで、「車の中で眠くなる」ことと、「乗り物酔い」の関係を指摘する医師もいる。
「人は、内耳前庭器からの加速度情報と視覚情報、深部知覚情報を受けて、自分の空間の中の位置を把握しています。ところが、乗り物に乗ったときなど、そこで感じ取った体の動き方と、視覚から得た情報とがうまくかみ合わないと、感覚が混乱し、乗り物酔いにつながるんですよ」
子どものころ、車酔いしないように「窓から遠くの山などを見ろ」と言われていたのは、この「視覚情報」による混乱を避けるためで、「目をつぶる」のも、やはり同様の理由のよう。
「乗り物酔いがひどかった人が、目をつぶるクセから、乗り物に乗るとすぐ寝てしまうというケースは、実際けっこうあるかもしれませんよ」
やっぱり!? 

とはいえ、助手席で寝られると、運転手が眠くなってしまう危険性も実際にあるわけで、助手席側の人も、十分な注意・配慮が必要です。
(田幸和歌子)
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