「廃校」というと、遊園地のお化け屋敷のモチーフになることも多く、ちょっとコワイ印象を持つ人もいるかもしれない。でもそんな廃校のイメージが今、大きく変わりつつある。
過疎化や少子化の影響をうけて、毎年数百校が廃校になっているが、最近では廃校を使ってイベントを開催したり、オフィスや美術館にリニューアルするなど、有効利用が積極的に進められているのだ。

そんななか、5月29日に新たにオープンしたのが、北海道夕張郡栗山町にある「雨煙別小学校 コカ・コーラ環境ハウス」。1998年に廃校となった「旧雨煙別小学校」を栗山町、NPO法人雨煙別学校、財団法人コカ・コーラ教育・環境財団が1年がかりで再生させたもので、環境教育を中心とした体験型宿泊施設である。

校舎は北海道でも数少ない現存する木造二階建てで、70年以上前にできたもの。内装や外装には改修が加えられているが、もとの面影も色濃く残し、温かみのある昔懐かしい雰囲気だ。

NPO法人雨煙別学校の副理事長である高橋慎さんに話を聞いてみると、
「財政も厳しく、廃校再生の資金繰りに苦労していましたが、コカ・コーラ教育・環境財団の支援により、再生計画を進めることができました」
また、施設作りのノウハウや人手も不足していたそうで、
「大工経験のある地域のボランティアなどの協力を得て完成させることができました」
まさに、財団・町・NPO・ボランティアが一体となって完成させたもの。
地元の人たちもこの再生を喜んでおり、作業のボランティアには多くの町民が参加したそう。

校舎には大部屋(計4部屋、最大80名まで宿泊可能)や食堂、炊事場、大小浴場などの設備や多目的に利用できる講堂などが用意され、全国の青少年を中心に自然体験教室や、指導者の環境教育研修などでの活用を想定している。基本的に団体利用のみ。

栗山町は、国蝶オオムラサキの生息地として知られ、サケの放流や里山づくりなど自然観察や環境活動が盛んな地域。子どもたちの教育には格好の場所といえる。施設の運営管理をおこなうNPO法人雨煙別学校では自然観察などのプログラムを企画するほか、宿泊者が用意するプログラムも希望や相談に応じて実施。
8月には財団が主催する環境フォーラムもおこなわれるそう。

かつて子どもたちの笑顔があふれていた学校に、再び子どもたちが帰ってくる。なんだか嬉しい試みですよね。
(古屋江美子)