ある時、友人が「カップヌードル買うときに味をどれにするか迷わない? あれ、“全部味”っていうのがあったらいいよねー」と言ったのを耳にして衝撃が走った。なんと暴力的な発想だろうか!

その友人の発言がどうしても頭から離れず、この度ついに、日清カップヌードルの三大フレーバー「カップヌードル」「カップヌードルカレー」「シーフードヌードル」を混ぜ合わせて食べてみることにした。
一人では食べきれないので、「全部味があればなー」とボヤいていた友人と、もう一人の友だちを家に招いた。二人とも、「タダでカップヌードルの新しい味を食べさせる」とメールするとかなりの食いつきであった。

出来上がった3つのカップヌードルをどんぶりに移し、かき混ぜていると、友人たちの心配そうな視線が痛い。さらにそれを3等分し、別の器に。スープの色はカレーヌードルを薄めた感じ。ちなみに、カップヌードルを別の容器に移すとその時点で途端に美味しさオーラが失われる点が惜しい。
見た目がなあ……。いや、しかしとにかく今は先を急ごう。麺がのびる!

私「前に言ってたカップヌードルの全部味だよ! さあ、どう!?」
友人はあきらめたように麺をすすり始めた。

A:「……うん、まあ、美味しいね。食べられないっていうのは全然ない」
B:「だねだね。カレーの味が強いかもね」
A:「いや、でも、それほどでもないっていうか、カレーのスパイシーな感じが結構消えてるような」
A:「シーフードの味がわからない」
B:「そう? このコクがそうなんじゃないの?」
私:「ホント、一口の中に色んな味がするね。
まさに全部味」

B:「あとさ、コロチャー初めて食べたけどウマイね。これいいよ」

2009年4月20日以降、カップヌードルの具材としてこれまでの「ダイスミンチ」に代わって採用された角切りチャーシューの名称が「コロ・チャー」である。

A:「コロチャー、こっちに入ってないっぽいんだけど!」
B:「うそ!? 結構入ってたよ。あげるよ、カケラしかないけど」
コロチャーをめぐる小競り合い。もし大勢で「全部味」を試される方は具の配分にくれぐれも注意してほしい。

B:「これさ、組み合わせによるんじゃない? チリトマトとシーフードとか、なんか合いそうじゃない?」
私「しお味とかもあるしね。
組み合わせは無限大だね」

グダグダ言いつつスープまで飲み干し、完食!

味の感想をまとめると「カレーの風味が少し勝っている感じだが、とにかくぼんやりした味。まずくはないが、それぞれの味がもっていた個性が消えてパンチは弱い。コロチャーはウマイ」といった感じ。「それぞれの味を普通に作って回して食べたほうがよかったのでは?」と真顔で意見された……。

A:「なんかすごく満腹。もうしばらくいいかなー」
私「またやることはありそう?」
A:「うーん、どうかな。
まあ、タダなら……」

と、友人たちの浅ましい部分に触れることができたのだった。
(スズキナオ)