歩行者信号では、青信号であることを音で知らせてくれるものがある。高齢者の方や目の不自由な方でも、安全に道路を横断してもらうためのもので、大きな交差点や、公共施設の近くを中心に設置されている。


この信号機から流れる音、どれくらいの種類があるのだろうか? 信号機メーカーに問い合わせてみた。

「最も有名なものですと、『とおりゃんせ』『故郷の空』がございます。また、『カッコー』『ピヨピヨ』という鳥の鳴き声のものも皆さんご存知かと思います。また、地域によってはこれ以外のメロディーを使っているところもあるようです」とのこと。地域限定メロディーの一例として、例えば横浜市には、『赤い靴』が流れる信号機があるらしい。これ以外にも、静岡には『富士山』、青森には『乙女の祈り』など、限定メロディーはいくつか存在する。


この音は、誰がどうやって決めているのだろうか? 信号機メーカーの方いわく、「都道府県警の方から依頼を受けて製作をしておりますが、詳細は申し上げかねます……」とのこと。そこで、『赤い靴』のメロディーを導入している神奈川県警に問い合わせてみたところ、「基本的には県警で決定し、メーカーに製作を依頼しておりますが、それまでに観光協会の方と意見交換をしたり、公募をしたりして、市民の方からのご意見を取り入れるようにしております」のだそうだ。ちなみに、『赤い靴』については、「山下公園の周辺に、いくつか『赤い靴』が流れる信号機があるようです」とのこと。

ところが、この信号機メロディーのいくつかが、将来的になくなる運命にあるかもしれない。

例えば京都市ではこれまで、「とおりゃんせ」の信号音が広く使われていたが、これが順次、鳥の鳴き声の音に切り替わっているのだそうだ。これには理由があり、鳥の鳴き声だと、別の鳴き声を組み合わせる「異種鳴き交わし方式」によって、進行方向がわかりやすくなるのだそうだ。
市民からは、「『とおりゃんせ』は、雰囲気があっていい」など、愛着の声も挙がっているものの、利便性を考慮し、導入は進んでいるもよう。このような動きは全国的に広がっており、将来的には「異種鳴き交わし方式」に統一される方向で整備が進んでいるのだそうだ。

では、『赤い靴』の音楽もそのうちなくなってしまうのだろうか? これについては「観光客の皆さんにも好評ですので、特別に残される可能性もありますが、現時点ではまだなんとも言えませんね」とのこと。

あなたの町の信号からは、どんな旋律が奏でられているだろうか?
(珍満軒/studio woofoo)