不況で、節約志向が高まる昨今だが、そんな流れと真逆をいくのが、セレブがすなる「朝からステーキ」という行為。

「セレブ」というブームすら、もうすでに遠い過去のような気もしなくもないが、それにしても、テレビに出る人たちはこの「朝から肉」を提唱する人が多い。


まず思い出すのは、ご存じ、叶姉妹。
「皆さん、朝からお肉、召し上がりますでしょ」とか「セレブは朝からステーキ」なんて話をテレビでよくしている。ブログでも肉に関する話題をたびたび書いているほどの「肉食」である。

また、夏木マリも、かつて『笑っていいとも!』に出演した際、会場アンケートでこんな質問をしていた。
「朝からお肉食べてきた人!」

他にも、森光子、佐久間良子など、「朝から牛肉を食べる」という有名人はいろいろ……。
「そもそも海外では朝からステーキを食べる人が多い」とも聞くけれど、でも、なぜ朝に食べるのが良いの? 夜に食べるのとどう違うの?

某番組で、叶姉妹が「ブレックファストステーキ(1万500円)をお取り寄せしている」と言っていた、大阪のはり重に聞いてみると……。

「ブレックファストステーキ、朝用のステーキなどというものは、特に扱っておりません。前の日に購入され、朝に食べる方もなかにはいらっしゃるかもしれませんが、特に朝を意識した商品はございません」
叶姉妹が「ブレックファスト用に購入している」というだけのことらしい。

だが、調べてみると、創業百余年の神戸牛専門店「辰屋」では、ズバリ「モーニングステーキ」という商品を扱っていた。いったいいつから? どんなもの? 聞いてみた。
「モーニングステーキは神戸市のセレクションに選定されたものですが、扱いはもうずいぶん昔からやってるんですよ。欧米ではホテルの朝食とかで普通に食べられてるものだから、『神戸=モダン、セレブ』のイメージで、『神戸の朝はモーニングステーキ』を広めたいと思ったんです」

朝からお肉という意味は、
「良質なたんぱく質をとって、1日を元気に過ごす」ということらしいが、ポイントは「100グラムのお肉」ということ。

「そんなに量があるわけじゃないから、朝からガツンと食べるのでなく、元気をつけるという意味。ただ、まあ、そんなに売れるもんじゃないよ(苦笑)。神戸のホテルで出してくれると良いんだけど。『神戸に行ったら朝はステーキ』をもっともっと広めたいです」
今のところ、利用は進物用が多いほか、リピーターが中心という。

ところで、パワフルな人には肉食の人が多いが、これについては当然、異を唱える医師もいる。
「確かに朝に良質のたんぱく質をとるのは良いですが、胃腸の弱い人などにはあまり消化が良いとは思えません。
それに、朝から肉を食べると元気になるというより、もともとパワフルな人だから朝から肉を食べられるということもあるでしょう」

経済的にも体力的にも「朝からステーキ」は、やっぱり誰にでもできることじゃない。「朝カレー」は定着してきたものの、モーニングステーキは、やっぱり日本ではなかなか広まらないでしょうか。
(田幸和歌子)