ある編集さんから、こんな疑問があった。

「女性用バッグなどのフタ部分によくついているマグネット。
あれって、携帯に影響ないんですかね?」

マグネットつきのバッグは、中身が見えてしまわず、開閉も楽チンで便利だけれど、マグネット付近に「携帯電話用ポケット」がついている場合はけっこう多い。

また、ノートPCや様々なICカードなどをバッグに入れて持ち歩く人は多いけれど……。これらはマグネットの影響を受けないのだろうか。
一般社団法人日本ハンドバッグ協会に聞いてみた。

「バッグのフタのマグネットが人体に影響するか、また、磁気に影響するかということは、実は我々でもときどき話題になることです。百貨店でも、お客様からそういったクレーム・問い合わせがときどきあるということは聞いていますが……。
一般に流通している製品は、そういった問題をクリアしている安全なもののはずなので、問題はないと思いますよ」

何か基準値などがあるのだろうか。
「我々の業界では、特に基準というものは設けていません。ですが、マグネットやホックの資材メーカーさんのほうでは基準があるかもしれませんよ」

そこで、世界で最初に磁石留め具の「マグネットホック」を開発・製品化し、ハンドバッグや鞄で広く使われるきっかけをつくった青木金属工業株式会社に聞いてみると……。
「磁気への影響に関しては、よくお問い合わせがありますが、数値的なデータは特にないんです。ただし、これまで実際に誤作動・故障などのクレームがあったことは1度もありません」

具体的なデータはないものの、基本的には「マグネットから1センチくらい離しておけば、ほとんど影響がないはず」という説明である。

やはりマグネットがついているバッグに、携帯用ポケットが普通について一般に流通していることを考えると、問題ないということなのか。

「携帯電話用ケースそのものにマグネットが使用されている製品もたくさんあります。こうした製品でも、これまでクレームはきていません。磁力は、基本的に外側には出ますが、内側にはあまり出ない性質があり、あまり影響がないということです」
そういえば、確かにマグネットで留める携帯電話ケースって、決して珍しいものではない。それが製品として成立しているのだから、問題ないと見るのが妥当なのだろうか。

ただし、セイコーウォッチのウェブサイトには、こんな注意書きもあった。
「バッグの留め金(磁石)は磁気が強いため、バッグに入れるときは注意し、留め金付近のポケットなどには入れないようにしましょう」
留め金や携帯電話のスピーカーについている磁石が、時計のモーターの回転に影響を及ぼし、時計の遅れや進みの原因となる可能性があるという指摘である。


基本的には影響を考慮されてつくられているバッグだし、多数流通するなかで今のところトラブルはほとんど出ていないようだし、「そんなことを言い始めたらキリがない……」という声もありそうだけど。

注意するに越したことはない、ということでしょうか。
(田幸和歌子)