インスタントラーメンの袋を開け、調理する前の麺をおもむろにポリポリつまみ食いしてみた経験は、誰にもあるはずだ。
味は付いていないがほのかに香ばしく、そして何よりカリカリとした食感がたまらないスナック麺。
何なら一袋まるごと茹でずにそのまま食べてみたい、でもそんな食べ方をしたらお母さんに怒られそうと、密かな夢を抱いたまま果たせず大人になった人もいるのでは?

そんなささやかな願望を実現するスナック菓子を、韓国で発見した。インスタント麺やレトルト食品で有名なメーカー、オットギが発売する「プショプショ」がそれだ。
ちょっと待て、ラーメンスナックなら日本にもあるだろう、と思うかもしれない。しかしプショプショが斬新なのは、袋入りのインスタントラーメンの袋を開けると、普通のスナック麺と変わらない四角い塊が、ごろっと出てくることだ。
袋の中には他にも、粉末スープが入っていそうな銀の袋もついている。これだけ見たら、ただのインスタントラーメンではないかと思ってしまうだろう。


これを食べる時は、自らある程度の大きさにくだいたスナック麺を袋の中に戻し、味のついたパウダー(プルコギ味、ポテト味、コーン味、トッポッキ味、チキン味、バーベキュー味の6種類がある)を投入、袋を手で閉じ、シャカシャカと振れば良い。
粉がこぼれないよう振るのに苦労するが、一口食べてみると、おお、スナック麺の香ばしさと食感は、まさに茹でないインスタントラーメン。そこにスナック菓子特有の刺激的な味が加わり食が進む。お酒のつまみにも良さそうだ。

日本を代表するラーメンスナック、「ベビースターラーメン」との大きな違いはと言えば、プショプショは、ひとつひとつの塊がごろっと大きく食べごたえがあり、カリッとした食感を十分に楽しめることにあるだろう。
塊となっているラーメンスナックといえば、ベビースターの姉妹品である「ラーメン丸」、古くは「ラーメンバー」という商品もあるが、これらは全体的にまんべんなく味付けされている。
プショプショの、食べる個所によってはやたらしょっぱく、かと思えばほとんど味がしない部分も出てくるイベント性は、柿の種とピーナツの配分を考えながらじっくり食べるのと同質の、大人ならではの食の愉楽を与えてくれるのである。

どうしてこんなお菓子を思いついたのだろう。発売元のオットギに話を聞くと、「普通のインスタントラーメンに、粉末スープをふりかけそのまま食べた経験は、韓国人なら一度はあり、現在もおやつとして食べる人は多いんです。大人には子どもの頃の思い出を、お子様には新しい味と楽しさを、というコンセプトで開発しました」とのこと。
プショプショは1999年7月に発売開始、その年には1億個以上を販売する人気を集め、現在も年に4000万個以上の売り上げを得ているという。なかでもプルコギ味が一番人気なのだそうだ。


ところでこのお菓子、あまりに普通のインスタントラーメンと似ていて、ただのラーメンをお菓子と言っているだけではないか、という気さえしてくる。しかしそこには厳然たる差があるよう。
「通常のインスタントラーメンとは原材料の配合率が異なり、カリカリ感がありつつも柔らかい食感としています」とオットギ。確かに袋には、「茹でないで食べてください」と注意書きがある。茹でるとどうなっちゃうんですか?
「茹でずに食べる食感に合わせてあるので、茹でると柔らかくなりすぎてしまいます。粉末スープもスナックシーズニングタイプのため、塩分よりも甘みが多く、調理するのには適していません」とのことだ。


なおネットで検索すると、プショプショを茹でて食べた韓国人ブロガーのレポートを、少なからず見ることができる。茹でて食べるラーメンがあればそのまま食べてみたくなり、茹でずに食べるラーメンがあれば茹でて食べてみたくなる、それが人間の業なのかもしれない。
とりあえず、茹でずに食べるラーメンを未体験の方は、韓国に行く人に頼んでプショプショをゲットしたい。プショプショはスーパーやコンビニで手に入ります。
(清水2000)