スイカを食べるとき、皮に近づくにつれて甘くなくなるのはみんな知っている。では、具体的に、真ん中部分は皮の近くの何倍くらい甘いのだろうか? 

園芸学者である北川博敏氏の著書『果物の商品学』に、典型的なスイカの糖度分布が掲載されていた。
それによるとスイカの糖度は、ど真ん中が約12度。外側になるにつれて糖度は下がり、中心と皮の中間地点くらいだと8~9度になる。さらに外側の、皮付近になると、糖度は6~7度程度と、半分程度になるようだ。

もちろんスイカの糖度は、品種や熟れ具合でまちまちだが、だいたい、一番外側はど真ん中の半分強くらいの糖度になる、と考えてよさそうである。ちなみに、人がおいしいと感じるスイカの糖度は10度程度らしいので、外側まで食べ過ぎると、ちょっと寂しい気持ちになってしまうだろう。

また、真ん中と皮の違いだけでなく、ツル(スイカの実が茎につながっている部分)に近い方が、糖度が高いようだ。
同じくらい中心からはずれた場所でも、ツルに近いところは他の場所よりも1度程度糖度が高い。みんなでスイカを食べるとき、少しでも甘いスイカを食べたいと思うなら、ツルの位置をしっかり把握することが重要である。

せっかくの機会なので、スイカを最後まで美味しく食べるための方法を、スイカ産直通販業者の方に聞いてみたところ、スイカをあまり冷やしすぎないことがポイントだそうだ。人の味覚は、温度が高いほどより甘さを感じやすい。なので、スイカをギンギンに冷やしすぎると、甘みを感じにくくなってしまうのだ。ファームの方いわく、「ビールを同じくらいに冷やすと、冷やし過ぎ」とのことで、冷蔵庫から出して少しおいたり、室温で保存して食べる直前に氷水で冷やす、などの方法が有効だそうだ。


食べ方を工夫して、最後まできっちり、スイカをおいしく食べたいものだ。
(珍満軒/studio woofoo)