シンガポールの牛角はスゴイらしい。

最近、たまたま何人かの知り合いから続けてそんな話を聞いた。
「牛角」とはご存じ、全国に店舗を展開する焼肉チェーン店のこと。人によって差はあるだろうが、3,000円もあればお腹いっぱいになれるリーズナブルな価格とカジュアルな雰囲気が魅力だ。

ところがシンガポールの牛角は一変、高級感に溢れているという。インテリアもモダンでスタイリッシュ、メニューには特選和牛など上等な肉も用意されているらしい。

なぜ日本と違うのか? 牛角を経営するレインズインタ-ナショナルの広報に話を聞いた。
「日本の牛角をそのまま海外で展開することが重要なのではなく、シンガポールのお客様を笑顔に出来るメニューや店舗デザインを追求した結果、現在の店舗となっています」
ちなみに同社の経営理念は、“感動創造~すべてはお客様の笑顔のために~”である。


昨今のシンガポールの外食状況は、ホーカーセンター(屋台街)に代表される安価なローカルフードと、くつろいで食事を楽しめる若干高級なレストランに二極化している。シンガポールの牛角は、店舗の立地や現地における牛肉の調達価格などを考慮し、後者のスタイルに決めたのだという。

店内には地元の人だけでなく欧米や日系の観光客の姿も目立ち、ビジネスマンが接待目的で利用するケースも多い。
「和牛などの高価格メニューやワインの品ぞろえが豊富で、それらを注文される方も多いため、日本より客単価が高くなっています。また、そのような嗜好を持つお客様に対しては、日本同様のスペースや内装などではミスマッチをおこしてしまうので、単位面積当たりの席数を減らし、“和”のテイストを強調した内装や雰囲気にしています」
ディナーの平均単価は約75シンガポールドル(約4,950円、1シンガポールドル=66円で計算)。

2004年に初上陸し、現在はシンガポール国内に3店舗を展開。
現地での評判は上々で、
「チャイムスという歴史的建造物のなかにある1号店には、観光客はもちろん、シンガポール政財界、芸能界の著名人が来店されています」
なんでもリー・クアンユー元首相もプライベートで何度か利用しているのだとか。また周辺国の企業からも、「ぜひ我が国でも牛角をやりたい」というオファーが寄せられ、インドネシアの牛角(フランチャイズ店)はそのパターンで出店に結びついた例だという。

人気メニューは、牛角特選上カルビ(23シンガポールドル、約1,520円)、牛タン塩(19シンガポールドル、約1,250円)など。また、高品質な和牛を供給することで有名なオーストラリアの牧場名をメニューに冠したマユーラステーション(純血和牛リブアイステーキ200g/77シンガポールドル、約5,080円)といったプレミアムな品も充実。一方で、夜9時以降限定のビール飲み放題メニュー(チャイムス店は17~20時)などお得なメニューもある。

日本とはひと味違うシンガポールの牛角。
牛角ファンならずとも一度は味わってみたいかも。
(古屋江美子)