この夏、海外旅行をする人も多いだろう。最近ではお土産もバラエティに富んでいるが、やはり定番はお菓子などのグルメ土産。
値段も手頃なものが多く、その人気は高い。

ただ、なかには日本への持ち込みが禁止されている食品もある。また、持ち込み可能であっても、空港での「動物検疫」や「植物検疫」の対象になることもある。どんなものに注意が必要なのか? まずは「動物検疫」について、農林水産省の消費・安全局、動物衛生課に話を聞いた。

動物検疫の対象となるグルメ土産といえば「肉製品」だが、基準は地域によって違うという。たとえばビーフジャーキー、ソーセージ、ハムなどの牛肉加工品は、アメリカやカナダからの持ち込みはNGだが、オーストラリアやニュージーランドからは「検査証明書」があればOKとのこと。


ちなみに牛肉にかぎらず、肉製品を持ち込むためには、必ず輸出国政府機関が発行する日本向けの検査証明書が必要。ちゃんと検疫カウンターで確認してもらう必要がある。
「免税店などで販売員が大丈夫だと言っても、証明書がなければ持ち込みはできません」
ただこの証明書、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの免税店の商品には表記されていることもあるが、ヨーロッパではほとんど見ないのが現状だ。

ちなみに意外なところではチーズはOK。ただし、チーズのなかに肉製品が入っていれば検疫対象になる。また、サーモンジャーキーやキャビア、カラスミなど魚を使った食品に関しては特に規制はないという。


続いて、果物や野菜が対象となる「植物検疫」。同局植物防疫課の担当者に、知らずに買ってくる人が多いNG土産をたずねると、
「最近はマンゴーやパパイヤなどの熱帯果実類を購入される方が多いですね。ただ、ほとんどの果物は、朝鮮半島をのぞくアジア地域からの日本への持ち込みが禁止されています」
一部例外として、パインアップル、ドリアン、ココヤシ、ランの切り花などは検査に合格すれば持ち込みができる。とはいえ、ドリアンなどはその強烈な香りからホテルや航空会社が持ち込みを制限していることも少なくない。

また、秋の韓国などでよく見る松茸などは基本的には持ち込みOKだが、土が付いているものはNG。ほかに防腐の目的でヒノキやスギの葉などが入っていることもあるから注意したい。


検疫対象かどうか判断に迷うものも多いかもしれないが、
「植物由来のものを持っている方は必ず立ち寄ってください」
というのが同課の基本スタンス。植物検疫の目的は、日本に植物の害虫や病気が入らないようにすること。検査の徹底はそのリスクの軽減や税関でのやりとりの短縮化にもつながる。

空港には詳しいリーフレットなども置かれている。せっかくの旅の記念を没収されないよう、また輸入禁止の製品を誤って人に渡してしまうことがないように、旅の前にぜひ一度チェックを。
(古屋江美子)