「何名様でいらっしゃいますか?」

先日、新宿駅からタクシーに乗ろうとすると、乗り場で紳士な感じの男性に尋ねられた。
不思議に思い、周囲を見回すと、「優良タクシーのりば」とある。


そういえば、昨年スタートした新橋駅に続き、8月5日より新宿駅西口地下と東京駅丸の内北口前に、「優良タクシー乗り場」が登場したというニュースを見たけれど……。これだったのか。

優良タクシーの基準は、「10年間クレームなし、3年間無事故無違反」などの条件を満たしてセンターから表彰された運転手」などという。

実際、タクシーに乗車し、目的地を告げると、「○○までの行き方はどうなさいますか。△通りから□に入る行き方でよろしいでしょうか」と説明も非常に丁寧で、さらに降車する際にも、こんな声をかけられた。
「お忘れ物はございませんか。お気をつけてお降りください。本日はありがとうございました」

近距離だったにもかかわらず、こちらが恐縮してしまうほどの丁寧な対応だが、「優良タクシー」って、接客など指導しているものなのか。
また、乗り場には必ず「コンシェルジュ」的な人を置くようにしているのか。
最近は、銀行の入口や窓口付近で、大ベテランらしい男性が待機しており、迷っている人などに適切な窓口を案内してくれるようになっているが、その「タクシー版」なのだろうか。

東京タクシーセンターに聞いてみたところ、
「こちらはタクシーに乗りやすいように案内などをしております。ただ、今現在、3か月間くらいいる外部委託のスタッフで、帽子をかぶって団扇などを配布しPRしたり、また、稼働台数の調査も兼ねているんですよ」とのこと。

つまり、コンシェルジュを常置したわけではなく、一時的なもの。また、接客なども特に指導しているわけではないようだが、「優良タクシー」とされている以上、個人個人の心構えは違ってくるため、接客も時に過度に思えるぐらい丁寧になるのかもしれない。

ところで、「優良タクシー乗り場」ができてしまうと、普通の乗り場から乗る人はいなくなるのかと思うが、意外にそうでもないらしい。
「アンケート調査の結果をいま集計している段階ですが、稼働的にはあまり変わっていないようです。先に設けた新橋駅では、前方が優良タクシー乗り場で、後方が普通の乗り場としておりますが、これらの差はあまりありません。また、新宿駅に関しては2か所とも優良タクシー乗り場となっておりますので」
新橋に関しては、あまり意識せず「近くから乗る」人が多いのだろうか。

まだあまり浸透していない感もある「優良タクシー乗り場」。でも、利用者が特に意識して乗っていなくても、「あれ? なんだかすごく丁寧」と自然と気付くと いうのは、やっぱり「優良」な証なのだろう。
(田幸和歌子)
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