喫茶店や図書館などの白い壁で、絵の具をびちゃっとかけたような謎のぶつぶつ模様をよく見かける。上の写真のような感じのぶつぶつである。


この模様、一体、何の模様なのだろうか? 壁紙などのインテリアを取り扱う、株式会社サンゲツに聞いてみた。

担当者の方いわく、「それはおそらく、石目調の壁紙のひとつなのではと思います」とのこと。壁紙には、木目調、織物調など、身近な模様をまねたものが多い。このような「○○調」の壁紙のひとつに、岩石の模様をまねた石目調というものがあり、これが、ぶつぶつの正体なのでは、とのことだ。

しかし、こんなぶつぶつの石って、あっただろうか? 素朴な疑問をぶつけてみると、「大まかに言って、壁紙の模様は、特定の素材の模様をまねたものと、デザイナーが素材の模様からイメージを湧かせ、自分でデザインするものの2種類があります」とのこと。ただし、実際にどちらに属するのかは、壁紙を見てもわからないようだ。


そこで、岩石について研究をしている、何人かの研究者の方に問い合わせてみたところ、皆さん、「このような模様の岩石は見たことがない」というご意見。ただその中で、「見方によっては、安山岩や玄武岩といった火山岩に見えなくもない」という意見もあった。火山岩は大きな結晶である「斑晶(はんしょう)」と、微小結晶やガラスで構成される「石基(せっき)」からなる岩石で、この斑晶の部分が「ぶつぶつ」の部分に似ていなくもない、とのことだ。いずれにせよ、自然の模様をモチーフにして、デザイナーが妄想を膨らませてデザインした可能性が高そうである。

ちなみに、このようなぶつぶつの壁紙を利用することのメリットをサンゲツさんに聞いてみたところ、「表面の凹凸が大きい模様は、見た目のボリュームが大きいので、ゴージャスに見えます。また、凹凸が光を乱反射させますので、テカテカした感じを抑えてくれます。
下地の凹凸を隠してくれる効果もあり、リフォーム向きの商品でもあります」と、色々とあるようだ。ただ反対にデメリットもあり、「凹んだ部分にホコリがたまりやすいことと、拭き掃除には向かないことです」とのことだった。

ひとまず、これから同じ模様を見ても、疑問をいだいて気が散らなくなりそうである。
(珍満軒/studio woofoo)