「パンドーロ」って、知ってますか? 

なんだか可愛らしい響きのこの言葉、実はイタリア北部ベローナ発祥の伝統的な発酵菓子のこと。卵黄とフレッシュバターを贅沢に使って焼き上げた黄金色の生地の大きなお菓子で、イタリアではクリスマスシーズンの定番としておなじみ。
日持ちもするので、12月にはイタリア北部の家庭にかならず常備されているといっても過言ではないほど。

現地での知名度のわりに日本ではあまり知られていない理由には、製造の難しさもある。パンドーロに使われるイタリア固有の酵母「リエビト種」は非常にデリケートで、日本の気候ではすぐに変質してしまう。さらにパン酵母であるイースト菌と同じ場所に置くと侵食されてしまうため、隔離しなければならないのだ。

とはいえ、日本で味わうことも不可能ではない。神戸に本店をもつベーカリー「ドンク」では、「サンレモ」というブランド名でイタリア発酵菓子を製作。
パンドーロも1985年から通年販売している。同社の担当者いわく、
「パンドーロに必要なリビエト種はイタリアで数々の賞を受賞している名菓子職人から引き継いでいます。また、神戸六甲アイランドにドンクの工場があるのですが、サンレモ商品は別格扱い。特別に仕切られたサンレモ専用の工房があります」

そして注目したいのが、この秋に期間限定で初登場する「マローネピラーミデ」。パンドーロに秋らしいイタリア原産の栗を合わせたもので、
「現代のスイーツ事情にあわせて、小型のピラミッド型に仕上げました」
というとおり、気軽に食べられるサイズが嬉しい。私も実際に食べてみたのだが、パンドーロと同じフワッとした軽い食感。
さらに口の中にほのかな栗の甘味が優しく広がり、なんともいえず後を引く。

商品はすでにドンク西地区の店舗(静岡以西の78店舗)で9月11日~17日に開催された「サンレモフェア」にて限定発売され、かなり反響があったそう。東地区の店舗(神奈川以東の50店舗)では、10月2日~8日におこなわれる同フェアにて販売される予定だ。

ちなみにフェアでは同じ酵母を使ったイタリアミラノの伝統菓子、「パネトーネ」の特大サイズ(通常の約2倍)も販売される。こちらはしっとりとした生地にレーズンなどのドライフルーツがたっぷり入っており、手土産にも喜ばれそうだ。

秋は新作スイーツが目白押しの季節。
ぜひこの時期だけの味覚をいろいろ試したいところ。
(古屋江美子)