気がつけば、液晶モニターもずいぶん安くなったものだ。筆者が初めて買ったサムスン製の15インチ液晶モニターは当時(7、8年前)、5万円くらいだったが今は23インチで2、3万円台という価格。


そんな中で最近、液晶のバックライトにLED(発光ダイオード)を搭載したモニターをちらほら見かける。LEDというと長寿命で経済的というイメージがあるが、果たしてモニターとしてはどうなのだろうか。『EIZO』ブランドでおなじみのモニターメーカー、ナナオさんに聞いてみた。

以前、「家庭用LED電球は18年使える耐久消費財!?」で紹介したLED電球は、従来の電球を圧倒する長寿命だったが、LEDモニターでは。
「LED搭載モニターの寿命は従来の蛍光管を使った液晶モニターとほぼ同じと考えております」ってどういうこと!?
「確かに、LED単体ではその寿命は一般的な蛍光管よりも長いです。しかし、LEDを液晶モニター内部の狭い空間に数多く設置すると、LEDが発する熱や他の部品からの発熱の影響を受けて、寿命が短くなると思われます」
意外や意外、そうだったのかぁ~。


では、消費電力はどうなのだろう。
「当社製品の場合、同じ画面サイズのモデルで蛍光管タイプとLEDタイプを比較すると、LEDタイプの方が約40%消費電力が低いです。一日あたり8時間、年間240日使用する場合、年間の電気代にすると約680円の違いになります」

今後LED搭載の液晶モニターが普及していくうえでの課題を聞くと、
「LED電球などでも同じようなことがいえると思いますが、コスト(価格)が普及の最大のネックになっています。コスト低減が進めば、LEDバックライト搭載の液晶モニターがどんどん普及していくと考えています」

最後に、性能面の見通しとして、
「LEDバックライトの色再現性などの性能が蛍光管タイプと遜色がなくなれば、グラフィックス用など専門用途の液晶モニターでも採用されるようになるでしょう」とのこと。

LED搭載モニターの現在の価格は、23インチで3万円前半から4万円後半くらいまでの幅になっており、従来モニターより数千円~1万円程度高い感じ。正直、年間680円程度の節約では「経済的でお買い得」と高らかに言えるほどではない。


だが、消費電力が低いので、エコの観点やノートPC用モニター(バッテリー寿命が伸びるから)としては大きなメリットがあるように思う。これなら改良が進んで、もっと安くて地球にやさしいLED搭載モニターの登場を期待したい。
(羽石竜示)