「『同窓会』ね。
実はこの類のツッコミは、自分自身、よくされるもの。
自分の地元では「同級会」という言葉を使うのが一般的なのだが、今は周囲の人たちに「同窓会ね」と言われたり、「クラス会のこと?」と聞かれたりする。
「同級会という言葉を初めて聞いた」とも言われたことが何度もある。
そこでまず、エキサイト辞書『大辞林 第二版』で調べてみると、「同級会」という言葉は見つからず、「同窓会」は「同じ学校の出身者によって組織されている団体。また、その会合」とあった。さらに、「クラス会」で調べてみると、「同じ学級または年度の卒業生の催す親睦会。同級会」とある。
あれ? 説明上では「同級会」とあるじゃないか。
ちなみに、我が家の『広辞苑第四版』でも「同級会」という言葉はなく、「同窓会」「クラス会」という言葉は収録されていた。
この違いについては、「『同窓会』は同じ学校出身者の会で、『同級会』『クラス会』は同じ学年、あるいはクラスの者の会」という説明が多いようだけど……。
これについては、こんな推論をする友人もいた。
「長野の人は、小中高でそれぞれクラス替えがなかったから(コネタ既出)、『同級』という意識が強いのかも。
椿鬼奴は東京出身者なのだが。
それはさておき、「同級会」という言葉を使うのは特定の地域なのか。ネット上で調べてみると、確かに「同級会」サイトは、長野出身者のものがずいぶん多く見つかった。
だが、その他にも、福島県と新潟県では多数、熊本県、愛知県、神奈川県、滋賀県、静岡県、山形県、青森県、愛媛県、宮城県あたりでも「同級会」とうたうHPを作成しているのが確認できた。
また、山梨日日新聞社では、「同級会」と題して、思い出のひとコマを紹介する企画があるし、兵庫県の丹波新聞社「丹波未来新聞」でも「同級会イン飛騨高山」という投稿が発見された。
ついでに、「同級会プラン」は長野県内、新潟県内、福島県内の温泉旅館などで多数企画されている。やはりある程度の地域性はあるのかもしれない。
最後に、ある国語学者は、こんな私見を述べてくれた。
「『同窓会』と『同級会』とを言い換えられるものもあれば、『同窓会』は数百名単位のものも含むのに比べ、『同級会』のほうが狭い意味ということもあります。それを方言というくくりにできるものかどうか。たとえば、『○年△組』などの場合、『同級会』を『同窓会』という言葉で全部置き換えられますが、一方、『同じクラブの同級会』とは言いません。ですから、意味の広さ、とらえ方の違いがあり、人間のしでかす事柄とついてくる言葉の内容が違うことはよくあります。
皆さんは「同級会」という言葉を使いますか。
(田幸和歌子)