寒い季節、外を歩く人の視線は心持ち下がる。首をすくめ、自然と背中が丸まり、気付くと何メートルか先の地面を見てることがある。


すっかり寒くなった先日、歩いていたら、ふと電柱の根もとが目に入った。地面に埋まっている電柱。それを見て、ふと疑問が。この電柱ってどうやって立ってるんだろう、どれだけ刺したらこんな立ってられるんだろう、と。

帰ってさっそく、電柱を作っているヨシモトポール株式会社の方に聞いてみた。電柱って、地面にどのくらい刺さってるの?
「設置する場所や用途によってポール自体の長さが違いますので、深さもそれぞれ違いますが、基本的に“全長の6分の1”を目安として埋め込まれている形です」

例えば全長12メートルの電柱なら、埋まっているのはそのうち2メートル。
長い15メートルの電柱なら、2.5メートル。んー、深いような深くないような……これで充分な気もするし、全体の長さを考えたらもっと深くまで埋まってていいような気もする。

立たせるうえでの工夫って、何かある?
「倒れないか心配なときは、さらなる固定をしています。例えば地面が固くて6分の1も刺さらない場合、埋め込む部分にコンクリートで補強してあげるとか、逆に地面がやわらかい場合は通常より1メートルほど、根入れを深くする(深く埋める)などです」

木のような根っこも、鉢植えのような支柱もない1本の電柱がスッと立っていられるのは、そうやって単純に「掘る・埋める・固める」の度合いを調節してるおかげ。ワイヤーで固定される場合もあるけど、街中など土地が狭い場所では特に、刺すだけで固定できるよう工夫が必要だそうだ。

つまり疑問の答えは、電柱は全長の6分の1が埋まっていて、場合によってコンクリートで補強したり、より深く掘ってるから立っていられる、だった。


……というわけで、早く解決してしまった疑問。これだけじゃなんだか物足りないので、ここからひとつ、電柱豆知識を。

聞いたことがあるかもしれないけど、電柱は基本的に上へいくにつれて細くなっている。多くは長さ75センチにつき、直径で1センチほど細くなる割合。だから普段見てる電柱は、地面近くよりも先端の方が、直径で数センチから十数センチ細くなってる。
じゃあなぜ下の方が太いかというと、単純に全体を安定させるためだけじゃなく、固定した電線や変圧器などが下へズレ落ちないようにするため、人が電柱を見たときの圧迫感を減らすためなどいくつかある。
結構考えられたデザインってわけだ。

以上、全体の6分の1を豆知識で埋めることで、企画として倒れないよう補強した今回の記事でした。
(イチカワ)