洗濯用の柔軟剤には、よく色がついている。
今は青(水色)やピンク、白など、商品のイメージに合わせ、製品の個性として色がつけられていることが多い。


そんな中、昔から柔軟剤といえば青系が多かった。1962年に発売された日本初の家庭用柔軟剤「花王ソフター」が、まず青色。現在売られてる同社のハミングよりも、少し濃い青だったという。

どうして、柔軟剤は昔から青系が多かったんだろうか。メーカー各社から伺った話や文献の情報を合わせると、以下のことがわかった。

▼青色には、清潔感をより感じられるイメージがある。

▼柔軟剤にはさまざまな成分が入っているため、昔は技術的に透明にするのが難しく、どうしても少しだけ白濁(乳濁)していた。
▼ 黄色と青色は補色関係にあるため、黄ばみの上にうっすらと青系の色がつくと、黄ばみが目立たなくなる。実際、以前の商品には、青系に着色することで黄ばみを抑え、白い衣類をいっそう白く仕上げる効果を狙っていたものもあった。

そして、
※昔の洗濯用洗剤にも“青み剤”と呼ばれるものが入っていて、衣服へわずかに青色がつくよう作られていた。

つまり「青=清潔」っていうイメージがありつつ、昔はわずかだけど本当に衣類へ青みをつけることも考えられていたらしい。もちろん今は、適量なら衣類に色がつくことはないのでご安心を。


また現在、技術的には無色透明にもできるけど、それだと使うとき“効いてる感”を実感できないっていう主婦の声もある。そこで、清潔感や白さを連想させる青や、商品イメージに合ったさまざまな色で、ほんのりと色付けしていることがあるようだ。

ちなみに、色をめぐる各メーカーのバトルもなかなか熱い。
最初に紹介した通り、まず家庭用柔軟剤の元祖「花王ソフター」や、この商品が改名されて1966年に発売された「ハミング」が青色。1975年、対抗するかのように、ライオンがピンク色(バイオレット)の「ソフランS」を発売して人気を博すと、今度は1981年に花王が同じくピンクの「フロリア」を発売。次の年の1982年には、ライオンが透明ボトルで青い液体の「レディーナ」を発売するなど、青とピンクの応酬が起こっていた。

最近では、2004年にP&Gが透明な「レノア」を発売。すでに数多くの柔軟剤ブランドがある中で、新参者として消費者の目をひくようにというのが、透明にした理由のひとつだったという。

そんな、青系を中心とした柔軟剤の色の歴史。
時代によるさまざまな理由で、色は考えられてきたみたいです。
(イチカワ)