ミュージシャンにしろ、芸人さんにしろ、サラリーマン経験のある人に、ある種の“深み”を感じている。保険外交員やボーリング場の支配人を経験したタモリ。
他には、俳優の佐々木蔵之介や、ミュージシャンのスガシカオもそうだ。
それにしても、“脱サラ”という行動をとる方々には素直に拍手を送りたい。その勇気と、思い切りの良さに乾杯。何かの目標があってこその行動であれば、尊敬に値する。もちろん、サラリーマンを続けていくことも素敵なことだが。

そんなサラリーマン経験者で結成されたバンドが、“サラリーマンの聖地”東京・新橋を主戦場にして活動中なのだ。その名も「ザ★レコーズ」。

彼らは結成3年目のバンドで、6人編成。そのうちの3人が脱サラ経験者で、1人は現役サラリーマンというメンバー構成。脱サラ組の前職はシステムエンジニアで、メンバーの長島哲郎(Vocal&Guitar)と、マスキー(Guitar&Vocal)はNTTデータの子会社で出会った。その後、長島主催の音楽イベントで6人が意気投合。

その後、彼らは“新橋系・脱サラロックバンド”を名乗り、新橋のライブハウスや軒下などを中心にライブ活動を展開。
話題を呼んでいる。

では、なぜ“新橋系・脱サラロックバンド”という方向性を目指したのか? 脱サラのメンバーが多いからだろうか? その辺りを、メンバーの1人であるマスキーさんに伺った。
「楽曲がサラリーマンに非常にウケが良いため、新橋で活動を始め、新橋でずっとやっていこうと腹をくくってから“新橋系”を名乗り始めました。実は、新橋周辺での勤務経験はありません(笑)」
腹をくくったのは、2008年11月。それからは、街行くサラリーマンなどをギャラリーにライブ活動を継続中。

ちなみに、彼らの音楽性はリスナーにパワーを与えてくれるようなもの。
「雰囲気が似てると言われるバンドは、ウルフルズやエレファントカシマシなどです。明るくてわかりやすいロックンロールをやっています」(マスキーさん)
とのことで、メッセージ性が強い曲も多数。実際、サラリーマンに向けた詞も存在する。何しろ、「俺はしがないサラリーマン」という歌詞で始まる曲もあるくらいで、“新橋系・脱サラロックバンド”の名に恥じない。

そんな彼らのパフォーマンス、新橋の現役サラリーマンにはどのように受け止められているのだろうか? その辺を伺ってみると、
「大きく分けて、2種類の反応があります。1つは、『お前らを見てたら元気が出てきた。
俺も頑張るよ』というものです。もう1つは、『好き勝手にバカやってるお前らが、うらやましい』といった反応で、前向きな気持ちと、会社に縛られてる悔しさが入り混じってるような印象を受けます」
やはり、夢を追う姿が眩しいのだろうか? だが、自身に向けられたサラリーマン達の“悔しさ”を察知するだなんて、一筋縄ではいかない“深み”をバンドにも感じるのだが。

そんなバンドのメンバーは、27~36歳という年齢層で構成されている。平均年齢30歳! まだまだ若いではないか。スガシカオがメジャーデビューしたのは30歳なのだ。
そんな彼らのニューアルバムが1月20日にリリース。タイトルは『ザ★白盤』と『ザ★赤盤』の2枚同時発売。

「僕らは一見、色物バンドのように見えますが、本気で一流のアーティストを目指してやっております!」
という熱い想いを持った、注目株のバンドである。気になる方は、ザ★レコーズのMySpaceで曲の試聴ができるので、どうぞ。
(寺西ジャジューカ)
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