まずは一般的なプラスチック系と金属系ボディのそれぞれのメリットについて、カシオに聞いた。すると以下のように回答。
○プラスチック系のメリット
・弾性があり、衝撃吸収効果が高い。
・複雑で起伏の大きい形状をつくりやすく、コストが安い。
・防水・防塵構造にしやすい。
・熱が伝わりにくいので、外気温の影響やカメラ内部の発熱の影響を感じにくい。
・塗装しやすい。
○金属系のメリット
・プラスチックより、薄いボディが可能(0.4~0.8ミリ程度)。
・熱を伝えやすいので、触るとひんやりとした感触がある。
・金属らしい高輝度感のある仕上げが可能。
・電磁波シールド性が高いので性能が安定する。
さらに、金属系はステンレス、アルミニウム、マグネシウムに分けられ、特徴がそれぞれ異なる。
・ステンレス:錆びにくく、強靭。
・アルミニウム:軽量で加工しやすいので、緻密な形状が可能。着色しやすい。
・マグネシウム:実用金属では最も軽量。ただし、加工が難しく、また腐食しやすいので塗装が必要などのデメリットあり。
つまり、プラスチック系は加工しやすく低コストで温度変化に強い。対して金属系は薄くて強靭で、高級感がある。では、デジカメの材質としてどちらが理想的か。
「コンパクトカメラとしては、価格のこなれているアルミニウム合金製ボディが最適でしょう」(カシオ)
その理由として、触れたときの冷たい感触、硬さ、表面の輝度感に独自の良さがあり、小型・薄型化へのメリットも大きいとのこと。
ということは、金属ボディがいいのか。しかし、最近の一般向けの一眼レフカメラや高倍率ズームカメラなどを見ると、プラスチックボディが目立つのだが。
「プラスチックでもカメラボディの場合は特殊な材料を使いますのでボディとしての性能が低下するわけではありません」(同)
「プロ用以外のモデルはプラスチックボディが一般的です」(ニコン)。
ボディが大きめのカメラでプラスチックボディが主流なのは、軽量感やリーズナブルな販売価格を重視しているからであろう。
ちなみに、カシオの耐衝撃・防水・防塵デジカメ『EX-G1』では、インナーボディにガラス繊維強化プラスチックを、アウターボディにステンレスを採用することで、両者のいいとこ取りをしている。
総合的に見て、金属系のほうがデジカメボディとして、やや優れているかも(とくに薄さ、高級感の点で)。筆者は金属ボディのヒンヤリ手触りと輝きが好きである。しかし、プラスチックの軽さや温かみも捨てがたい。あなたはどちらが好みですか。
(羽石竜示)