花見の盛んな時季だが、お酒を飲む席で、注意したいことの1つに、「失態・失言」がある。
お酒を飲むと、舌がなめらかになるのは良いが、普段触れないようにしていることや、言わなくても良いことを言ってしまうという経験をしたことがある人は、多少なりともいるもの。
では、なぜお酒を飲むと、失言してしまったりすることがあるのか。
アルコール問題に詳しい医療法人社団榎会・榎本クリニックの深間内(ふかまうち)文彦院長に聞いた。
「お酒を飲むと、アルコールは胃や小腸から吸収された後、血液の流れに乗って全身を回り脳に到達します。一般に脳は有害な物質に対して、中に入れないような関所のような仕組みになっているのですが、アルコールは簡単に脳の中に入ってしまいます。そうすると、麻酔作用が起こり、まず一番外側の『大脳新皮質』の神経細胞を麻痺させるんですよ」
そして、「お酒を飲んで失言」の原因も、まさに「大脳新皮質」の「大脳辺縁系」に対する“抑制解除”によるものなのだという。
「しらふでは公言してはいけないことを酒の席では、ぽろっと口に出してしまう。いつもそのことを気に掛け、注意を払っているがゆえに、酒が入るとかえって失言してしまうということがあります。同僚と飲んでいる場合など、お互いにテンションが上がりエスカレートしていって、言わなくていいことまで言ってしまいあとで後悔するということもよくあります」
つまり、普段、大事に胸にしまっていること、鍵をかけて触れずにいることこそが、「抑制解除」によって、出てきてしまうということのようだ。
「もう一つ言われていることは、本来脳内にある快楽物質であるドーパミンの分泌をアルコールが一時的に促進し、不安を抑制する働きをするギャバ(GABA)という神経伝達物質の放出を強め、一方的に気分を盛り上げてしまうというものです」
楽しくなるがために、怖いものなしで普段の心のわだかまりをぶつけてしまう、サービス精神から、相手が喜びそうなことをまだ確定しているわけでもないのに話してしまうというのが、そうした例として考えられるのだとか。
ちなみに、こうした「お酒で失言する人」には、どんな人が多いのだろうか。特にアルコールに弱い人というわけでもないですよね?
「お酒さえ入らなければ、真面目でおとなしくて、仕事熱心な人に多いようです。日頃不平不満があっても、自分の心の中だけにとどめておく。
では、こうした失言などをなくすには、どうしたら良いのか。
「飲んでいるときは自分を失い、周囲の空気が読めない状態になるため、酔いが冷めたら、早々に相手に謝るべき点はきちんと謝ることでしょう。そうすることで、自分にも失言に対する自覚が生まれます。また、日頃から他人の欠点ばかりに目がいかないよう、バランスの取れた見方を養ったり、お酒以外のストレス発散法を心がけることも大切でしょう」
お酒はあくまで楽しく、ほどほどに。失言には十分注意しましょう。
(田幸和歌子)
お酒を飲むと、舌がなめらかになるのは良いが、普段触れないようにしていることや、言わなくても良いことを言ってしまうという経験をしたことがある人は、多少なりともいるもの。
では、なぜお酒を飲むと、失言してしまったりすることがあるのか。
アルコール問題に詳しい医療法人社団榎会・榎本クリニックの深間内(ふかまうち)文彦院長に聞いた。
「お酒を飲むと、アルコールは胃や小腸から吸収された後、血液の流れに乗って全身を回り脳に到達します。一般に脳は有害な物質に対して、中に入れないような関所のような仕組みになっているのですが、アルコールは簡単に脳の中に入ってしまいます。そうすると、麻酔作用が起こり、まず一番外側の『大脳新皮質』の神経細胞を麻痺させるんですよ」
そして、「お酒を飲んで失言」の原因も、まさに「大脳新皮質」の「大脳辺縁系」に対する“抑制解除”によるものなのだという。
「しらふでは公言してはいけないことを酒の席では、ぽろっと口に出してしまう。いつもそのことを気に掛け、注意を払っているがゆえに、酒が入るとかえって失言してしまうということがあります。同僚と飲んでいる場合など、お互いにテンションが上がりエスカレートしていって、言わなくていいことまで言ってしまいあとで後悔するということもよくあります」
つまり、普段、大事に胸にしまっていること、鍵をかけて触れずにいることこそが、「抑制解除」によって、出てきてしまうということのようだ。
「もう一つ言われていることは、本来脳内にある快楽物質であるドーパミンの分泌をアルコールが一時的に促進し、不安を抑制する働きをするギャバ(GABA)という神経伝達物質の放出を強め、一方的に気分を盛り上げてしまうというものです」
楽しくなるがために、怖いものなしで普段の心のわだかまりをぶつけてしまう、サービス精神から、相手が喜びそうなことをまだ確定しているわけでもないのに話してしまうというのが、そうした例として考えられるのだとか。
ちなみに、こうした「お酒で失言する人」には、どんな人が多いのだろうか。特にアルコールに弱い人というわけでもないですよね?
「お酒さえ入らなければ、真面目でおとなしくて、仕事熱心な人に多いようです。日頃不平不満があっても、自分の心の中だけにとどめておく。
それが、酒が入ると一気に衝動にストップがかけられず口をついて出てしまうということです」
では、こうした失言などをなくすには、どうしたら良いのか。
「飲んでいるときは自分を失い、周囲の空気が読めない状態になるため、酔いが冷めたら、早々に相手に謝るべき点はきちんと謝ることでしょう。そうすることで、自分にも失言に対する自覚が生まれます。また、日頃から他人の欠点ばかりに目がいかないよう、バランスの取れた見方を養ったり、お酒以外のストレス発散法を心がけることも大切でしょう」
お酒はあくまで楽しく、ほどほどに。失言には十分注意しましょう。
(田幸和歌子)
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