そして、注目を浴びているJAXAから、また大ニュース。「イカロスが自分撮りに成功!」
今回は、「イカロス」について、簡単に説明する。
◆「イカロス」の任務の目的◆
小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」は、帆を広げ太陽光の圧力で進む宇宙船(太陽帆、ソーラーセイル)。風の力で動く帆船の宇宙版。
イカロスの任務は、「帆だけで宇宙を航行できること」と、「帆に貼り付けた薄膜太陽電池で発電できること」を宇宙で実証することだ。
◆「イカロス」の構造◆
本体は、直径1.6m、高さ0.8mの円筒形で、そこに14m四方(対角線長さ20m)の帆が収納されている。帆は厚さ0.0075mm(7.5μm)の樹脂膜で、表面には薄膜太陽電池や姿勢制御デバイスなどが張り付けられている。
◆「イカロス」の任務の流れ◆
今年5月21日、種子島からH-IIAロケットに金星探査機 「あかつき」と相乗りで宇宙に打ち上げられた。任務は大きく分けて2段階。
まず最初の数週間で、回転による遠心力で帆(膜面)を展開し、太陽光発電を行い「ミニマムサクセス」。
その後、半年間ほどかけて、ソーラーセイルによる加速、減速、軌道制御を実施し「フルサクセス」となる。
◆「イカロス」の自分撮り!◆
イカロス本体にはカメラがついており、広がっていく帆の様子を撮影できるようになっている。
それとは別に2台、小型の「分離カメラ」を搭載しており、これを本体から飛ばして、本体を撮影する。今回そのうちの一台の「DCAM2」が切り離され、本体を撮影に成功!
分離カメラは電波でイカロス本体にデータを送り、そして本体から地球へ写真が届けられた。
遠い宇宙でのソーラーセイル全景の撮影成功、そして小型カメラを分離して探査機自身を撮影したのは、ともに世界初の快挙!
◆「イカロス君」と「DCAM2君」◆
イカロスの現状については、ツイッターでイカロス君(@ikaroskun)がつぶやいてくれている。また今回大仕事をした分離カメラDCAM2君(@DCAM2)もツイート中。もう1台の分離カメラDCAM1ちゃん(@DCAM_1)も出番が来たらツイートするはずなので、フォローしておこう!
イカロス君とDCAM2君のアニメは、イカロス専門チャンネルの「撮像成功!」を伝えるページの最下部で見ることができる。
◆将来の計画◆
イカロスが実証した「ソーラーセイル」と「太陽光発電」。太陽光発電の電力はイオンエンジンの駆動に用いる。このハイブリッド推進で、超長距離の移動が可能になり、「太陽系大航海時代」へ突入する。まずは、木星やトロヤ群小惑星の探査を行う計画だ。
現在イカロスはミニマムサクセスを達成し、フルサクセスへ挑戦中。宇宙で帆を広げて優雅に航行する「イカロス」に期待!
なお、実は「はやぶさ」も、太陽光圧を利用するという、ソーラーセイルと同じ原理で、トラブルを乗り切っていた。
日本が先行するソーラーセイル。
(もがみ)