分野によって多少違いはあるが、日本を中心的に支えているのは、45歳前後の男たちといっていいだろう。あなたの会社の管理職でも、課長から部長へとランクアップするのがほぼこの年回り。
よくも悪しくも責任ある立場に立つようになる一方で、もうワンランク上の遊びにも挑戦したいと色気づく年頃でもある。

で、今この年回りに当たるのが、“アラフォー”から脱した昭和40年前後に生まれた世代だ。そんな極めてピンポイントな年代の男たちだけにスポットを当てた雑誌が存在する。その名も『昭和40年男』だ。

昭和40年(1965年)生まれの男性は今、日本に80万人ほどいるという。彼らの45年間の人生には、ほかの世代にない一つの特徴がある。


テレビが必需品として定着したのがちょうど昭和40年代。「ウルトラマン」や「仮面ライダー」、「8時だよ全員集合」など子どもたちの誰もが見るおばけ番組が多数放送されたのがこの時期だった。月曜の朝の学校で共通の話題は「全員集合」のカトちゃんや志村けんのギャグだった。そういう体験はほぼ全国の子どもたちに共通していた。全国規模でブームを体験した最初の世代がこの昭和40年男たちなのだ。

逆にこれより若い世代となると、「全員集合派」と「オレたちひょうきん族派」に分かれるような形で、興味が分散する傾向が進んでいくことになる。
その意味で、昭和40年前後生まれの方は貴重な層といえる。

この、貴重な世代の人たちの共感性を一つの形にできないかとの発想から始めたのが雑誌『昭和40年男』なのだと、自らも昭和40年男である北村明広編集長は語る。いわく、「要するに全国規模で仮面ライダーごっこがやりたかったんですよ。(小学館の学年誌)『小学六年生』の大人版というような形で」。

最新号では昭和57年特集を展開し、彼らが高校2年生だった青春時代に夢中になった「オールナイトニッポン」のパーソナリティ・笑福亭鶴光へのインタビューや、アイドル全盛期のディスコグラフィーなど、昭和40年生まれなら黙ってはいられないコンテンツが誌面を賑わせている。

ただ、“ナツカシ”ものだけでは、ほかの昭和ものと変わり映えしない。
あくまでターゲットは“今を生きる昭和40年男”。これからが大事になってくる健康維持の基礎知識や、本当のこれからの“男の遊び”など、未来に目を向けた記事も事欠かない。

さらに、昭和40年以前に起きた「戦争」も大事なテーマだと北村編集長は語る。今回は広島の原爆投下に関する小特集が掲載されているが、「われわれの親たちは戦争を体験した世代。その体験をこの先の世代に語り継ぐのはわれわれの大事な役目」とする。

編集部では誌面と連動し、各種イベントの開催も予定している。
8月7日(土)には荻窪で読者ミーティングを開催するほか、毎週月曜日には浅草の某所にて「秘密基地」を設営している。全国規模での共感性を持つ昭和40年男たちの力で「デジタルではできないリアルでの共感の場を、雑誌として挑戦したい」と編集長は意気込む。イベントの詳細は誌面にて確認してほしい。
(足立謙二/studio woofoo)