東海道・山陽新幹線の車両の色は普通、白色を基調に青色のラインが入っている。
車体が黄色ということで、通常旅客の新幹線でないことは一目瞭然。何が普通ではないかというと、「ドクター」であること。線路や架線を走りながら検査するドクター、業務用車両なのである。
東海道・山陽新幹線の安全性や乗り心地の良さに寄与している、このドクターイエローの出動は、10日に1度ほど。主に「のぞみダイヤ」、半年に1回は「こだまダイヤ」で走行し、軌道の検測を行うわけだ。
10日に1回ということで、見かける機会はなかなか少ない。というわけで、以前から鉄道ファンの間ではダイヤの情報交換などが行われていたようだが、最近はドクターイエローの存在が一般の人にも知られるようになってきたようだ。
先日の午前11時半ごろ、東京駅の東海道新幹線ホームで人だかりができていた。その群衆がデジカメやケータイを向けているのは、ホームに停車している黄色い新幹線「ドクターイエロー」だ。
子供連れはもちろん、サラリーマンや中年女性もケータイのカメラで撮影している。
この状況、カメラをもった鉄道好きが群がる光景とは、明らかに違う。
一生懸命写真を撮っている人の一人に「電車好きなんですか?」と尋ねてみたが、「特にそうじゃないけど、珍しいから」とのこと。
おそらく、見慣れた新幹線が全身真っ黄色というのは、インパクトが強いからであろう。確かに、筆者も同じ気持だ。単に珍しい、話のネタになるし写メでも撮っておくか、程度の考えなのだ。もちろん、子供に大人気であることは言うまでもない。
そして鉄道ファンにとっては、10日に1回も運行しているということで、今更大挙して押し寄せるほど珍しいものでもないようだ。
どうしても見たい場合は、インターネットでダイヤの情報を収集するのもありかもしれない。
しかしながら、珍しい車両に出会えたという偶然性やそのインパクトに、ドクターイエローの魅力や面白さがあるのかもしれない。
(もがみ)