うめ、ルーツ座談会もこれで最終回。
日頃からルーツに対して思っていたことをポロっと言ってしまううめさんに、絶対に負けないと強気なルーツ。

part4も見どころ満載でお届けしていきます。
part1part2part3

――そういえば、うめさんとルーツの出会いをよく知らないんですが。
妹尾 最初はなんでしたっけ、アライさんが私たちの前に連れてきたんですよ。確か。
――ノラ猫みたいですね。
ルーツ 説明が乱暴ですよ。米光一成さん(ゲームデザイナー、エキサイトレビューレギュラーライターのひとり)と小沢さんが渋谷でイベントをやっていたんで、見に行ったんです。
――小沢さんは米光さんとも本を出していましたね
ルーツ うめさんとちゃんと話したのは終わった後の飲み会ですね。
小沢 そうだそうだ! 飲み会でいろんな編集さんに紹介したんだ。
――どんな雑誌の編集さんがいたんですか?
小沢 集英社と小学館が2誌、あとハーレクインにメディアファクトリーもい
たなあ。ワーッと一気に紹介したんです。

――そんなに! 幻冬舎コミックスはいなかったんですか?
小沢 いなかった(笑)。連載していたんだけどなあ。
ルーツ そこのところを分銅さんにも聞いてみたいんですが、っていないですね。
小沢 トイレかな。
(*分銅/トイレやないです、急用の電話やったんです!)
ルーツ あのときはなんでたくさん編集さんがいたんですか?
妹尾 講演系のイベントをやるのが初めてだからみんな見に来ていたんだよ。
ルーツ 最近、電子書籍のイベントとか出ているんで、すごいイベントに出ているイメージがあったんですけど、あれが最初だったんですね。
小沢 デビューもしてないのに、編集に囲まれるってのもすごい。
ルーツ あの時はビビりましたね。その後にB-TEAMの特集で小沢さんの家に行ったんですよ。
――1日アシスタント体験していたやつですか。
小沢 あのときは、ルーツが緊張して線が引けなかったのが一番面白かった。
ルーツ 震えがおさまるでひたすら線を引いていたんですよ。

――お互い最初に会った時の印象はどうでした?
小沢 ヌボーっとしていて、覇気のない奴だなあって思っていました(笑)。
ルーツ なんですか、それは!
――うめさんとルーツって作風も絵のタッチも全然違うんですよね。
小沢 ほんとに何の接点もない(笑)。
――ゲーム実況者とゲームを題材にした作品という感じでゲームで繋がっているくらい?
小沢 辛うじてゲームがあるくらいだね。
ルーツ か細い糸ですよ(笑)。
――それが一緒にコミックス発売イベントをやるようになった。
妹尾 知らない人からしたら、なんで? ですからね。
――(分銅さんが帰ってきている)『するめいか』の初速はどういう感じだったんですか?
分銅 ありがたいことにamazon入荷分は即日完売しました。
――すごいですね!
分銅 ここの通販ならまだ買えますよ、とルーツ君がツイッターで書き込むたびに売り切れていきましたね。
――イナゴの大群のように食いつぶすと(笑)。そのうち企業から話がくるんじゃないの? この商品についてつぶやいてくれとかって。
小沢 これだけ影響力あるとくるかも。
(『するめいか』を手に取り)ほんと昔から背景をよく描き込んでいるよね。
妹尾 4コマだからこんなに描かなくていいんじゃないかなと思いながら見ていました。
――4コマギャグ漫画って背景全く描いてない作品とか多いですよね。背景真っ白とかじゃ駄目なの?
ルーツ 白いと不安でしょうがない。描きすぎって言われるときもあるから、結構妥協しているところもあるよ。
――どうですか、最初のほうと比べて。
小沢 昔の方が絵は丁寧。
妹尾 表情の壊し方は大胆になっているね。
小沢 でも昔はさ、本当に絵が上手くならないなって言っていたじゃない。なんでこんなに上手くならないのかと妹尾と感心していたんですよ。
ルーツ そんなこと言っていたんですか。
妹尾 それ言わない約束だったじゃない。

――まさかの暴露話が展開されていますが(笑)。ルーツって今原稿用紙だよね。PCで描こうとかは思っていないの?
ルーツ トーンとか楽だし、やりたいとは思っているんだけど、やれるのかという不安もあるかな。
――全部アシスタントに任せちゃうって手もあるよね。
ルーツ そうそう。この間アシスタントに来てもらったら、俺よりツヤベタが上手くて
小沢 よくある(笑)。
妹尾 ツヤベタが上手い子って結構いる。
ルーツ あまりにも上手いんで他の作業はいいからってすっとやってもらって、今月はツヤベタが綺麗だから、俺が細かいところを仕上げなくても大丈夫だなって思っていました。
――またうめさんのアシスタントに行くとかはないんですか?
ルーツ 行ってもいいんですか?
小沢 来るかい?(笑)。不安だけど呼ぶよ。
ルーツ 不安なんじゃないですか!
小沢 でも結構上手くなっているよね。最初のころはスカートの色を線で表現していたけど、今はトーンを貼っているから落ち着いて見える。

妹尾 前のも味があっていいけどね。
小沢 あと目が大きくなった。
――より漫画っぽくなっていると
小沢 やっぱり上手になっているね。
――師匠から認められた瞬間が。
ルーツ いやー、まだまだこんなもんじゃない。もっと手厳しい指摘が。
小沢 もう今は、上手くなっちゃうような指摘はしたくない。
ルーツ それはしてくださいよ!(笑)。
小沢 「コミックバーズ」は絵が上手い人が多いからルーツを見ると安心するよ。
ルーツ 僕はそのためにいるんですね(笑)。
――「少年ジャンプ」の『ラッキーマン』ポジションじゃないですか。
ルーツ 全体を落ち着かせるための存在という。

小沢 でもルーツもいつかアメリカで個展をやるくらい上手くなるかもしれないじゃない。
妹尾 絵師とか言われてね。
ルーツ アメリカの風を受けながらの。
――漫画ではない表現をしてそうですよね。彫刻家とかになっているかもしれない。
小沢 最終的に表現媒体が漫画じゃなくてもいいわけでしょ?
ルーツ そんなことないですよ! 漫画家として死んでいきますよ。
――漫画家の横のつながりってどうなっているんですか?
ルーツ 春原ロビンソンさんしか知らないです。
――それも漫画家になる前からの友だちだもんね。
小沢 僕はツイッターのおかげで増えました。
――ツイッターをやっている漫画家って本当に多いですよね
小沢 漫画家がこんな横に繋がっている時代ってないと思います。だから出版社がやりにくいだろうなと思います(笑)。うちはこうだよ、っていうのがすぐ伝わっちゃう。みんな結構ダイレクトメールでやり取りしていますよ。
ルーツ 裏ネタの取引を。
小沢 こういう風に言われたんだけど、どこもそんなもんなのかなあって書くとダイレクトメールでうちはこうだよ、って届いています。
――漫画について話せる人がいないと寂しい気もしますね。
ルーツ 寂しいねえ。
――「コミックバーズ」執筆陣の年齢層ってどんな感じなんですか?
分銅 一番若いのはルーツ君です。20代後半から30代前半が一番多いですね。
――ルーツが「バーズ」の若頭。
ルーツ この戦国時代を生き抜いていきますよ。
――そのためにももっともっと描いていくと。
ルーツ 今本誌で2本連載しているんで、webの方で1本増やして、月3本連載にして2巻を来年の頭くらいには出して、年内にもう1冊行きたいという野望があるんです。
――野心の塊みたいだなあ。うめさんの野望というか目標はありますか?
小沢 『するめいか』よりも早くアニメ化されたいなと思っています。
ルーツ 絶対負けないっすよ!
――いつかうめさんを乗り越えると。
ルーツ いやあ、それは方向性が違うんで。
小沢 まともな回答したよ!


チーズケーキとブラインドから始まったこの座談会。
最初はどうなるものかと思ったけど、ルーツの絵について語るうめさんや、またアシスタントをしに行きたそうなルーツ。もっとこの3人の話を聞いていたかった。
ルーツがネームで妹尾さんが絵を描いたり、小沢さんがネームを描いてルーツを絵を描くコラボ漫画なんて面白いかもしれない。

次は『大東京トイボックス』と『するめいか』がアニメ化したときにまたやりましょうね!(加藤レイズナ)


著者サイン本をプレゼント! 詳しくはコチラ
編集部おすすめ